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天球ギャラリー

小説、イラストの保存庫です。
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遊戯王(海闇):さみしかった

ver.遊戯

「ちょっと趣旨変えしてみたんだがデュエルしないか?」
そういう電話がかかってきたのはついさっきだ。
「いや、お前が空いてるときでいい」
空いてる時間はないがお前のために空けてやろうと言うと、無理するなと言うが声はうれしそうだ。
このツンデレめが。素直じゃない。
「うるさいな、ツンデレ具合はお前が上だろ」

海馬はニヤニヤと笑って電話を切り、内線で告げた。
――今日の予定はすべてキャンセルしろ
磯野の悲鳴が聞こえたのは言うまでもない。


ver.アテム

「セト!遠乗りいくぞ!」
何を急におっしゃいますか、とセトはパピルスの束から顔を上げる。
「いいだろ、最近色々ありすぎて全然行けてないじゃないか」
警護のために部下も連れて行かないとですねと冷たく笑ってみると、
「え、あいつらもくるの」
残念そうだ…ファラオはまだ若くていらっしゃる。
父上が早くにお亡くなりになって甘える先がなかったファラオの心の友はこの私以外いないのだからなフハハハハハ
「遠乗りじゃなくていい、お前の部屋でいい。遊戯盤で遊ぼう」
さしずめ寝台が盤といったところですねと小さく言うと、彼は顔を真っ赤にした。
「セト、この変態野郎め!」
変態で結構、変態でないわたくしを想像して御覧なさいとセトは笑った。




アテムは結構素直だとおもうんです。たぶん。
セトは結構余裕があるとおもうんです、ファラオの愛に関してはwww
一緒に居る時間が長いからあせらないし裏切ることもないと過信。

現代っ子たちは駆け引きをたのしみつつライバルでありつつ
素直になったらなったほうが負けのように張り合ってます。
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THE ENPRESS

煌めく情熱と、お人よしな性格と…若さだけがそうさせるのではない。

城之内の性格は歳をとろうと変わらないだろう。

冷めた孤独な自分になにか大事なものを思い出させてくれた大事な人が城之内なのだと認識するに、そう長い時間はかからなかった。

ただ、大分年下な人間に興味を持つなんて思いもしなかっただけだ。

自分は年上のダンディでびしっとした男と肩を並べるのかもと思い込んでいたのだから。

年下なんて、ガキなだけ。

そう思っていたのに、生意気なガキに惚れた自分がいる。

世の中は奇天烈で、予想外なことが沢山あるんだなと思ったのはこれが1番大きかった。

彼は私の目と心を捕らえて放さない。

予想外な面白いことを言っては笑わせてくれるのがいつも嬉しくて期待してるなんて言えない。



「みえないけどみえるもの、なーんだ!」

城之内がそう言うので、不思議に思った舞は聞き返した。

「え…逆じゃなくて?」

「そう、逆じゃなくて」

逆なら自分たちが出会った頃にあった会話のひとつだが、一体なんなんだろう。
見えないってことは目をつぶっていてわかるということだろうか?

「勿体振らないで言いなさいよ」

「ふっふっふ、それはな」

こんな会話をしていられるのも、この世にはいない遊戯…ファラオのおかげである。

自分がペガサスの王国で遊戯を狙い、目をつけたことから始まった。

遊戯は城之内同様、自分に大切なことを思い出させた。

気高きファラオがいなければ自分は一介のデュエリストに終わり、決勝に進むことなどできなかっただろうに。

城之内の顔がにやっと砕けた。

「愛だ!」

かあっと自分の頬が赤くなるのを感じた。

とっさに手で頬をおさえる。

「な、なによそれ」

「普段は目に見えなくて溶け込んでるのに、考え事をすると舞のことが過ぎっちまう」
同意したかったが恥が勝って頷けなかった。

「目に見えるものには舞が強いのに、目に見えないものになると途端に可愛くなっちまうんだもんな、舞は」

「ちょっと…!か、からかうのやめなさいよ…」

城之内の目が優しくなる。
「舞とはいろいろあったよなぁ」
初対面で色気と外見に騙されたあいつは、男らしくさっぱり豪快な態度を見せたらババア呼ばわりするし。
共通の嫌な奴を倒してから仲間ごっこを一晩。

それから城で参加券を盗まれた城之内にカードをわたして…。

賑やかな声に見上げれば、空には不機嫌そうな海馬瀬人となだめる弟、ぎゅうぎゅうにヘリに乗った¨仲間たち¨をみつけたあの時から、変われた自分を認識したのかもしれなかった…。

「ねえ、城之内」

舞は城之内に優しく話しかけた。

「あたしたちは、幸せでいいんだよね?」

なにが幸せじゃいけないのか自分でもわからなかったが、不安だったのだからしょうがない。

「幸せでいけないわけ、ないだろ?」

「そうよねー」

二人でこうしてくだらない話をして、励ましあって、笑いあっているのが幸せなんだ。

お互いさらけ出して、お互いのすべてを愛し合ってることって幸せなんだ。





「…ノロケは社外でやれよな~」



「うぎゃああああ!」



モクバが呆れた目で見上げていた。

「オレが入ってきたのにも気付かないでノロケてるおまえらなんて兄サマには見せられないぜ…」

「そんなことは…」

「だって兄サマ、遊戯が冥界に帰ってからどうしてると思う?」

舞は思った。

海馬瀬人は他人に興味を抱かないが、例外が遊戯だったのだ。

詳しく知らないのでわからないが、突然城之内に会えなくなった自分のようなものと考えたら事態は深刻だった。

「オレがでてきてよかったぜ。

兄サマが来たらおまえら、リアルに殺されかねないぞ?」

やはり、事態は深刻なようだ。

「え、兄サマが心境を語る相手なんているわけないだろ…。

遊戯がいれば、遊戯が1番兄サマの考えてることに詳しかったんだけどな」

「海馬が遊戯のことばかり考えてるってなんでわかるんだ?」

「だってよ、遊戯から預かった鎖を身から離さないんだ。

風呂も、寝るときもだぞ。当然起きてるときも。

これだけで十分すぎるぜ…」

鎖というのは千年パズルのついていた鎖のことである。

彼のデッキはあちらの遊戯が預かっているが、遊戯も気をきかせたのだろう。

話を聞いたところ、遊戯の次に王の座を継いだのは海馬の前世であり、記憶の世界ではパズルと紐ごと手渡されたらしかった。

いまやパズルはない。

それでも鎖を首にかけて、見えないパズルの存在を信じるかのように不在の彼との絆を確かめているのだろうか?

「海馬がそんな状態だなんて想像もできねえ」

「オレだって初めてだよこんな兄サマ…」

円環

昼は太陽に照らされて輝く黄金色の砂漠が見える。夜は月に照らされて輝く白銀色の砂漠が見える。

砂漠の砂はその手から滑り落ち、何もこの手には残らない。

ただ、この手には何も残らなくとも、彼らは自分を覚えていてくれるという事実さえあれば、どんな苦しいことも乗り越えられよう。

『時は円環のように繋がっていると思いませんか、ファラオ』
懐かしい言葉を思い返して、噛み締めるように小さくその言葉を暗唱する。
『肉体が死んだら来世に蘇るのです。記憶はないかもしれませんが。ファラオはいつでも輝いておられるから、知らぬ間に私を側に引き付けなさるに違いない』
そしてこの言葉を彼は自信満々に語っていた。
『まあ、この私がアテムの魂を見失う訳がない。何度生まれ変わっても本能的に探し求めなければおかしい』

おかしい、とまで言い切ったあの男のことだ。 未来でもあの男がサポートしてくれるのだとすれば自分にはなんの心配も要らない。

自分は単に自己犠牲したのではなく、あの場を救う光を求めに未来へ旅立つ。

いまこの最後の瞬間…。記憶を失う前のこの瞬間に願うならば…。

千年錐よ、願わくばセトに光あらんことを。

父は戦場で死んだとされ、家族というものを持たなかった彼の来世には光を…


…おかえりなさいませファラオ。

記憶の戦いが終結し、帰還したアテムを迎えたのはセト、シモン、アイシスであった。 やはりあの戦いで命を落とした彼らは存在しないのだ。 シャダ、カリム、アクナディン…。

「帰って、きたのか」
アテムは振り返った。ブラックマジシャンに憑衣したマハードが大きく頷く。 セトはアテムに歩み寄り、手に携えた千年パズルをアテムに差し出した。
「お待ちしておりました。…私に再びファラオと呼ばせて頂けませぬか」
セトの青い双眸が瞬き一つせずにアテムを見つめた。
「だがエジプトはおまえが成長させてきた。セトが王のほうが…」
「いいえ。私は幼い日、あなたと共にあり全てを捧げようと誓ったのです」
「いや、オレには何一つ国のことは出来やしない…」
シモンがアテムの手を取る。
「ファラオにはファラオの、セトにはセトの得意分野がありますぞ。共同統治なさればよい」
目を見開いたアテムにセトが微笑んだ。

「ファラオは民に身を尽くされる傾向がありますから…。私は民以前に、あなたに身を尽くすことで頭も手も一杯ゆえ」
「セト…!」
「闇はあなたをしりぞけて私を王にと望みました。 しかし私には王になるより、あなたへ尽くすことのほうに興味がある。 あなた無しの世界など、私の思うままになりすぎてつまらないものでしたから」
ククク…と口端を上げたセトを見てアイシスが笑った。 シモンもやれやれとため息をつき、マハードは「セトらしいな」と呟いた。

「わかった。オレは再びファラオとなろう」
千年パズルを我が身に引き寄せて、
「オレが帰ってきたからにはセトを退屈させやしないぜ」
とアテムが笑えば、セトは望む所だとばかりに不敵な笑顔を見せた。

神官達から離れた柱の影にちらりと空色の髪が見えた。 色素の薄い肌に、海のような鮮やかな碧色の瞳を宝石のように輝かせている精霊と視線が交わった。 マハードと同じように、強い魔力を持った者にしか見えない魂である。
―――どうかセト様をよろしくお願い致します、ファラオ…
アテムが頷き返すと、精霊は頭を下げ、竜の姿に変わって大空へと舞った。 竜の後姿を見送って、アテムはセトを見た。
マハードと同じくあの精霊も三千年の間セトの魂を守り続けているのだろう。 初めて海馬瀬人という人物に会ったとき、あれがセトの生まれ変わりとは気付きもしなかった。
それもそうだ、闇のゲームの中でキサラであるはずのブルーアイズホワイトドラゴンは彼に従うことがなかった。
当時記憶のなかった自分や、本来の魂の力を失っていた海馬の目には見えなかっただろうが、キサラは側で泣いていたかもしれない。
カードをポケットから出したり、人から無理矢理盗んだりする行動を悲しんでいただろう。

だがそののち彼は本来の魂を取り戻した。
(おまえは三千年経ってもちっとも変わっちゃいなかったな)
しいていえば違うのは、人前でファラオと呼び敬語を使うモードがないことだけだろう。 二人だけのとき、自分に対するものはまったく同じ。
(最初のころはモクバに『兄さまが狂った』なんて言われてたっけな)

マハードの苦労も、キサラの苦悩も今ここに報われたのだ。 アテムの魂は戻り、そしてまた生まれ変わってセトと出会う。 この輪廻は止まらず、二人を見守る精霊たちもまた何度も主を守ろうと戦う。
「セト、オレたちはいつまでも共にあるぜ」
アテムの手がセトの頭巾を外した。
不思議そうに見下ろす碧い目、亜麻色の髪、なにひとつ来世の彼と変わらない。
「勿論です」
ふと、セトが耳元で囁いた。
「永遠に私のものだ」
アテムは頬を染めつつ、彼を振り返る。
「さあ民が待ってるぜ、オレたちを!」

神官たちとファラオは歩き出した。 その後ろに竜が控え、途中の廊下からマハードの弟子が加わる。
兵士たちの驚嘆の声を一身に受けながら、千年パズルとセトの頭巾を手にした小さな王はバルコニーに足を踏み入れた…

静寂

金を貴重とした神殿、王の間に彼はいた。
辺りは暗く、夜。彼は一人星を眺め、暇を潰していた。

「ファラオ」

神官が一人、恭しく礼をして入ってきた。
手に携えた千年ロッドが怪しく光を発している。

「セト・・・なんの用だ?」
「何用もなにも・・・話に来ただけでございます。」

セトはファラオと呼んだ彼をまっすぐに見つめると、話を切り出した。

「あの盗賊王バクラによる無礼な行動・・・今後も続くと思われますが
 いかに対処すべきでしょうか。」
「・・・・・・セトはいつもそのようなことを考えているのか?」
「は・・・?」

彼は階段を下り、同い年にしては自分より身長のありすぎる彼の前まで来た。
そして再び口を開いた。

「寝る間も惜しんでそんな事を考えているのか、と聞いてるんだ。」
「それは・・・我々はファラオとお国を守るべく見を削る思いで常に・・・」
「神経質だな、セトは。この前のようにオレが出ればいいじゃないか。」
「それでは我々が貴方を守っている事になりませぬ。」

彼はふっ、と笑った。

「オレはまだ子供だが・・・国王だ。お前達を守るのは当然だ。
 たまには甘えてみたらどうだ、セト。ひとりで抱えるなよ。」

彼はマントをひるがえし、部屋に戻ろうとした。

「お待ちくださいファラオ。今宵、私の修行に付き合っていただけませんか。」
「ああ、かまわない。じゃあ庭裏の闘技場で・・・」

セトは首を振り、言った。

「いえ、馬で川辺まで行きましょう。私が馬を走らせましょう。」





馬は走った。
明かりがなく道標もない、道無き道を。

「セト、この格好はなんとかならないのか?」

馬の背に彼を乗せ、セトが後ろに乗る。
手綱はセトが持ち、彼はセトに抱かれる格好となっていた。
セトは言う。

「ファラオは馬乗りが苦手であるはず。私の方がスピードがでますからね。」

そこじゃなくてなぁ、と彼はため息をつく。
川辺が見え、馬を止めた。

二人は馬を降りた。彼は言った。

「で、なんのつもりだ。本当は修行ではないんだろう?」
「勿論です。では、お聞きします。
 いろいろ私に御意見をくださりますが、どういう意味で私をお目にかけて下さっているのです?」

彼は笑って言った。

「お前が神官になって、オレがファラオになって。お前はオレのライバルみたいなものだからさ。」

セトは微笑んだ。

「ライバル・・・ですか。もし貴方を私が裏切ったとしてもですか。」
「オレとお前は戦う宿命だ。でも、ライバルだけじゃなく仲間でもあるからな。
 別れてもまた出会うさ。お前はオレの大切なヤツだからな。」
「ありがたいお言葉です。」

川辺はきらきらと輝いていた。
朝日が来るのはまだ遠いのに・・・星の光だろうか。

それとも・・・未来の光だろうか?

夢幻無限

あの光はなんなのか。
オレは誰なのか。

海馬瀬人はそんな思いにかられていた。
あの時・・・、バトルシティトーナメント準決勝で自分と遊戯に見せた幻。
イシズは数千年前エジプトの神官と王だという話をしていたがいまだに信じがたい。
その迷う気持ちを抑える為に「世界海馬ランド計画」を行うことにしたのだが
こっちは滑るように順調でありえない問題もない。

奴の存在ほど謎な物は無い。
そう、夢のようで幻のようで。




海馬コーポレーションアメリカビル・社長室。
「兄サマ?」
モクバは大丈夫かとばかりに顔を覗き込んだ。
「大丈夫?魂飛んでたよ。」
「ああ・・・。」
――くだらない思想をしてしまっていたな。
仕事に打ち込み、一日が流れ、自分はだんだん年をとる・・・。
「暇だ・・・こう、緊張感のないというかスリルが無いというか。」

デュエルしたい。
・・・・・・相手がいない。

仕方なく窓の外を見ると、ニューヨークのビル街が見えた。
ナイト・ニューヨークとでも言うべきか、ネオンと大勢の人間が光る。
だが、そこに行こうという気にはならなかった。




古代の話も気になるが・・・それは遊戯、貴様に任せておこう。
オレと貴様の戦いに終わりなどない・・・そう、無限だ。

貴様はそれを調べ、真実か確かめるがいい。
オレは待っているぞ、貴様が強くなりオレに再び挑む日を。
「古代の幻想などたやすく想像出来るぞ。フン。」
(ただし、セトとファラオがどんな関係だったかまでは想像できていない)

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