りんご茶さまから去年10月に頂きました主ミレ小説です。
横恋慕(フォーン王・イリカ姫絡みの主ミレ)
PCサイト1000番キリリク・古川晃さまに捧げます。
海峡に繋がる水門のカギを管理するフォーン王国
俺達が三ヶ月ぶりにこの地へ訪れた訳は、フォーン王とイリカ姫ふたりの結婚の儀に招待されたからだった。
祝いに訪れた人々がでざわめく大きなシャンデリアが輝く大広間。
王宮の楽団が奏でるゆったりと流れる心地よい音楽。
テーブルの上には、所狭しと並べられた豪華な食事に珍しい酒。
そして、ひな壇に並んだ幸せそうに微笑み合うフォーン王とイリカ姫。
頬を染め見つめ合う二人を祝福する多くの人々、そして俺たち。
何処をどう旅して回ってるかわかんねぇ俺達。
それをタイミングよく見つけ出す事が出来たってだけで奇跡に近い確率だろ?
それで結婚式に招待してくれるなんてさ……本当に俺、感激しちまうわ。
目に見えない不思議な結びつき・巡り合わせ。
もう、これってホントに運命だよなって俺は思う。
なるべくしてそうなったって言うかさ。
とにかく、二人の恋の成就に関しては、俺達も絶大な貢献してる事だし。
多いに楽しまなきゃな!
……と、祝福する気持ちと同時に、俺はイヤでも思い出す。
ある男の事を…………
ミラルゴ……………
胸の奥からこみ上げて来る複雑な想いに、遣る瀬ない気持ちに苛まれる。
恋に狂った馬鹿な男。
遠い昔イリカ姫に横恋慕した、自分勝手な哀れな魔術師。
姫と恋仲だった王子との仲を裂き、自分の物にならない姫を鏡の中に幽閉した等の本人。
奴の封印のおかげで姫は、長い長い時の中を孤独と戦いながら、鏡の中でひとりぼっちで過ごすはめになっちまう。
気が遠くなる程長い時が流れ………
姫との仲を引き裂かれた運命の王子はフォーン王として生まれ変わり、愛し合う二人は時を超え、鏡越しに再会を果たす。
鏡を隔てて内と外。
互いに惹かれ合い、求め合った二人は再び想いを募らせて……………
その二人が結ばれる為に俺達が絶大なる協力をした訳なんだ。
フォーン、イリカ、ミラルゴ。時を超え巡りに巡った三角関係。
普通に考えて二人の恋を邪魔するミラルゴが絶対悪。
そんな簡単な事は、俺にだって痛いほど解かるんだけど……
苦しいほど胸が詰まる。
俺には………ヤツの気持ちが痛いほど解るから。
自分を想ってくれない好きな女を閉じ込めて、独占したいって奴の想い。
気持ちが気持ちだけに、なんだか身につまされちまっ胸が苦しい。
奴のとった行動は許されねえ事だけど、俺はどうしてもミラルゴに自分を重ねちまう。
自分の意のままにならない、ただ一人の愛しい人。
ミラルゴにとってのイリカ姫は…………
………………………………………………
ミレーユ………
彼女が想う男と再会をはたしたその時に、表面的にはともかく心から祝福する事なんて、俺絶対無理だから。
本当の所、表面的にだって祝福してやれるかどうか怪しいもんで……イマイチ自信無い。
他の奴なんかに渡したくない。
あの笑顔が他の奴に向けられる事なんて絶対に許せない。
他の男に取られるくらいなら…………
人気の無い何処かの塔の中にでも、彼女を閉じ込め逃げ出せぬよう拘束し……………………
なんて事、想像してる俺ってホントに救いが無い。
行動に移すかどうかは置いといて、俺の本質はミラルゴと同じだって事。
自分勝ってでどうしようもない恋に狂ったバカな男。
好きな女の幸せよりも自分の欲に忠実な…………
「難しい顔してどうしたの?」
不意に耳に響いた声に跳ね上がった胸の鼓動。
「な…なんだよ…………」
「らしくないじゃない…こんな隅っこで! おめでたい席で…いっつも真っ先に騒いでるあなたが。」
「ちょっと考え事してたから…………」
「めずらしいわね。」
そういってクスリと笑った彼女が、少しだけ憎らしい。
…………俺ってあんたの目にどんな風に映ってんだよ?と、心の中で呟きつつも口に出す事なんて決してできない俺はただ口をつぐむ。
「そんな顔しないでよ…………はい! イザの好きなお肉!」
楽しそうに笑いながら、取り分けた料理の皿を俺に差し出してくれた彼女。
その笑顔はあまりにも穢れがなく、後ろめたい想いを抱く俺には眩しすぎて、直視する事なんてとてもできなくて…………
「ありがと。」
目を伏せて愛想なく呟くだけで、ただ皿を受け取る事しか出来なかった。
「具合でも悪いの?」
心配そうに俺の顔を見つめるる銀青の瞳。
その瞳は無自覚に俺を苦しめる。
その気が無いのなら、これ以上俺に期待なんかさせないで。
優しい言葉を掛けられれば、掛けられる程深みから抜け出せなくなっちまうから。
こなままだと……
あんたが想う男と再会をはたしたその時に、見せかけでさえも祝福なんてしてやれなくなっちまうから。
「ちょっと飲み過ぎちまったんだ………………」
「そう?」
俺の返事になんの疑いも持たずに微笑んだ愛しい人。
お願いだから………
これ以上、俺を惑わせないで。
俺が俺自身を保っていられる様に。 俺が笑いながら軽口を叩ける逃げ場を保っていられるうちに。
こんなに苦しくて切なくて、どうしようも無いくらい利己的で自分勝手な俺なんて………
これ以上自覚させないで欲しいから。
「時を超え想い合っていたお二人が、末永く幸せにいられる様に‥‥」
唄う様にそう言った彼女。
目を細めながら微笑んだ彼女は胸が苦しくなる程美しく、その美しい言葉の調べは俺を深く傷つけた。
(後書き)
PCサイト 1000番hit キリリク☆古川晃様に捧げます。
遅くなりまして大変申し訳ありませんでした!
フォーン王・イリカ姫絡みで!
……と、リクエストいただいたのですがほとんど絡んでおりません(汗)
古川さんからに限り、苦情受付けます!!
乙女らしいミレーユに対して束縛愛に狂いそうなイザ…
対照的な二人の今後が気になってしまいます…!
間違いなくこのイザはテリーと視線バチバチしそうですね(笑)
そんな様子を遠目からこそこそ見てみたくなりました。
うちのイザ君は姉さんに食われるような草食気味なので
がっつがつなイザ君を読めてうれしいです!
りんご茶さんありがとうございました!!
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