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楚良の双剣

暗闇に包まれた文明都市は、リアルでのネオンをきらめかせるかのように輝いていた。
見上げられる空では暗黒の闇色と、離れた尖塔から照らされる優しげなライトが交差する。
だが意図的に作られた石畳とその街並みには少し、冷たさと寂しさが感じられた。

ぶぅん・・・・・・

レアの双剣を装備した派手な色使いの双剣士が一人、ゲートアウトしてきた。
彼は"PC名・カイト"と表示されたステータス画面で手元の"楚良の双剣"をチェックし、効果を調べる。
「便利なアイテム手に入れちゃった。さすが隠しワードエリアだね。」
追加効果・ダイイング。大型モンスターもコロリ☆の素敵に無敵な追加効果。
彼は安易にダイイングでどんなモンスターも倒せると思って満面の笑みを浮かべながらΣサーバーに飛んだ。

だが、彼はのちに後悔する。



辿り着いたのはLV69のΣ高LVエリア。ソロプレイでここを攻略するのは難しいが、試す価値はあった。
カイトは青透明なプチグソを降りて少しよろけながらも辺りを見回す。
―――シンボル無し・・・か。
彼はぎゅっ・・・と武器を握りなおして軽快に走り出し、ダンジョンの入口をくぐった。

「ダイイング!」
ズバァッ!
Lサイズの大型モンスターに向けて走り出し、ダイイングを食らわせる。
そして見計らって遠くから魔法スキルを連発する。
「HPが4000なら1000になるけど、まだ1000あるから安心できないし魔法の方がいいよね。」
彼はオラバクローム!と一声叫んで敵を葬った。
この調子なら大丈夫そうだと思い込み、彼はさらにダンジョンの奥へと足を運んだ。
だが、彼は重要な事を忘れていた。

随分奥まで来たようだ。魔法陣が開きかけたそのとき、彼は今になってで重要な事に気付いた。
回復薬は魔法よりも効果が早い為に使いまくった・・・よって底をついてしまっていたのだ。
「うわっ、Sが2匹・・・にMが1匹!しかもこういう場合に限ってSは物理耐性・・・ι」
カイトは仕方なく遠距離魔法攻撃に切り替えようと敵の間を潜り抜けて走った。
そのとき、キィイ・・・というかすかな音と共にもうひとつあった魔法陣が開いた!
「Lっ!やばい・・・」
魔法攻撃を連発しようにも敵がバラバラで範囲攻撃が出来ない。
目をぎゅっとつぶる。ソロは危険・・・そのことをカイトは深く反省した。
そして彼はLモンスターの巨大な腕、そして遠距離からの魔法スキルをまともにくらった。



やっとΣルートタウンについた。
・・・やっぱり無茶するんじゃなかったよ、ゲームオーバーしちゃったし。
回復薬を買い込んで記録屋の近くの壁に寄りかかっていると、一人の影が地面に映った。
「なにやってるの本当に。ワイズマンから聞いたわよ、ゲームオーバーしたんでしょ?」
重剣士のブラックローズが心配そうに彼の顔をを覗き込んでいた。
カイトは苦笑しながらも、うん・・・とうなずいた。
「馬鹿みたいにソロで高LVエリア挑んでっ・・・いつでもいいからアタシとか他の仲間を呼んでよね。
死なせたりしないから。アンタのこと凄い心配してくれてる奴だっているんだし、いまから呼び出してみれば?
そいつにさっき会ったんだけど、俺がついていればそんなことには・・・って苦しそうに言ってたわよ(笑)」
「ありがとう・・・。」
ブラックローズが魔法屋の方向に走り去る。
頼もしい仲間の後姿を見ながら彼はメールを打った。

「ぼくと冒険しない?目的なんてないんだけど・・・ね(笑)」

すぐ答えは返ってきた。
ランプがチカチカと紅く点灯して、着信を告げる。

「まかせろ。」

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