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memory

2014年、シューゴとレナがログインした、その日。

「ここにいたんですか」
オペレーター・レキの声がエリアに響く。ここは木属性の晴れたエリアだった。
グランパの去った後の誰も居ない空いた泉の側に一人、バルムンクが立っていた。
彼はオペレーターの声を聞くと、空を見上げた。
「此処は思い出の場所なんだ。俺とカイトの。」
レキが空間から姿を現したが彼は振り返らずに話を続けた。
「1年前、世界が平和になった後、しばらく。俺とカイトはこのエリアに来た。」




「ぼく、大学受験あるんだ。だから、TheWorld出来なくなるかもしれない。」
カイトは寂しそうな複雑な表情を浮かべた。だがすぐに微笑む。
「ぼくの守りたかったこの世界は順調に軸に、正しい道に戻ってきている。
ヘルバもリョースも、司も昴もオルカも楚良もぼくに協力してくれてる。ミアも元に戻ったしね。」
ぼくの力じゃなくて・・・皆が居たから今が有る、と彼はつぶやいた。
「無茶なぼくにずっと付き合ってくれてたブラックローズ。他の皆。ありがとう。
でも、一番・・・一番、ぼくと一緒に戦ってくれたのはバルムンクだよね。
いつも連れまわして。迷惑一杯かけちゃった。ごめんね。」
「何を言ってるんだ、お前は!どこにだって付いていく、お前を守る為にならな。」
真面目な顔をして俺が言えば、カイトは笑う。
カイトにしてみれば、これが最後のプレイになるかもしれなかった。
その最後のプレイで自分と二人きりでこのエリアに来た事に何か意味はあるのだろうか。
「ぼくがプレイできない間・・・この世界を守ってくれるよね?」
―――うまく言えないけど、ぼくはバルムンクと一緒にいたい。
大学入れたら、リアルでも一緒に遊ぼうよ。並んでTheWorldをやろう。
「管理者になって、俺とお前の大切なこのゲームを見守ろう。約束だ。」

―――TheWorldを守ってくれる?
―――大学にちゃんと受かれよ(笑)

「じゃあ、明日渋谷で・・・待ち合わせだよね。携帯メールにメール送っとくよ。」




「バルムンクさんって、メンバー公認でカイトさんの恋人なんですよね。なんか凄いなぁ・・・」
男同士、ということにはあえてなにも突っ込まない。
カイトに1回だけ会った事があるが、女の子のように可愛かったし性格もそれなり。問題ない。
「全てが所詮ゲームにすぎなくても、俺たちはこの世界を守る。大切な思い出であり、大切な場所だからな。」
ところで、とレキが話を切り出した。本にはさんであったレポートを出して読む。
「アウラ、の目撃情報がありました。そして、カイト型PC・シューゴのログインが確認されました」
カイトであってカイトでない、シューゴのログイン。彼は確かめたかった。

そして、アウラ・・・・・・。

「ドットハッカーズ・・・・・・「伝説」が、また動き出すということか・・・?」
「ところで、渋谷の話聞かせてくださいよ!
ばっ、と彼が振り返る。そんなに聞かれたくない事なのだろうか。
だが、そういう反応があると余計に聞きたくなるのが人というものだ。
「・・・その話は後でだ!俺は、いや・・・・・・・私はこれから管理者としてシューゴ一行を尾行する。
お前はアウラの件と上層部の呼び出しを適当にあしらっておいてくれ。」
それだけ言うと彼はゲートアウトした。
「渋谷・・・バルムンクさん浮いてたんじゃないですかね。」

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