ターニアは本当の妹ではなかった。
ライフコッドに飛ばされた半身がお世話になって、本当のきょうだいだったらよかったのにという想いが夢で実現していただけだった。
ランドがターニアを狙っているのは知っていたし、きっと現実の将来は…そうなるだろう。
ランドからしたらいきなり好きな子の家に男が居候するんだから気に食わなかっただろうな、イザはいまさらだからこそ苦笑できた。
「それにしても、さすがはイザはん、ターニアはんに一切手をつけとらんですもん」
ツンツンがさっきから馬車の中でひどい話ばかりしている。
「普通~舞い降りた男と看病した女は、ねえー。
おにいちゃん、なぁんて呼ばれたら…ぐへへっ
…ちょっ、痛い、バーバラはん痛い!」
「ツンツン下品!イザはそんなやらしくないし!」
話を聞いているとため息が出てくる。
まさかそんなターニアに恋心なんて持つわけ無いじゃないか…
確かにかわいいし、器量もいいけど。
どっちかというと親心というか兄心というかそういう心のほうが…
「イザ?」
御車台にミレーユがやってきた。
隣に腰掛けると、ミレーユが嫌そうに後ろをあごでさす。
「ツンツンがわたしのほう見ながら言うから出てきたわ」
「あいつ…」
イザはミレーユの目を真剣にみつめた。
「俺はなにもしてないよ!」
ミレーユは何がおかしかったのか表情を崩し、お腹を抱えて笑った。
「笑うとこか?!」
「そうよね、わたしにだって何もしないんだもの、ね」
「なんだよその言い方、なにかしてもいいのか?」
馬車の中からは布が邪魔で見えないだろう、思い切って腕を引いてぱっと唇を奪った。
ミレーユの白い顔が赤く染まった。
「冗談じゃ、許さないわよ?」
「本気本気!俺ミレーユにしかこんなことしないもん」
「ターニアちゃんは妹だものね」
「そう、ターニアのおにいちゃんなの、俺は」
二人は見合わせて、明るく笑った。
お題提供元:http://members2.jcom.home.ne.jp/seiku-hinata/index.html
PR