通称・ホーム。タウンの一部を借家として借りて使えるパーティーだけのアジト。
カイトのホームでのある出来事、それに対してメンバー達は様々な意志を抱いていた。
「どこがわからないんだ?」
凛とした声が響く。木で出来たシンプルなデザインのテーブルに向き合って座っているのは
白銀の剣士・バルムンクとイリーガルな配色の双剣士・カイト。
カイトは困ったように笑い、脱力し、頬杖をしながら言った。
「えっと・・・数学。」
「円だったりとかするのか?数学は得意だ。まかせろ。」
バルムンクもいつになく真剣で、彼らは先輩と後輩にしか見えない。
カイトが問題を読み上げ、彼が解説する。まかせろという言葉の通り、彼は難題もなんなくこなした。
彼にしてみれば高校3年生の自分が中学の問題を解く等、とても安易な事なのだろう。
数学だけでなく、国語や家庭科・・・しまいには保健までも詳しく解説してくれた。
ここまで来ると天才、不得意だなんて言いながらも間違いなしに解答する。
やはりPC―プレイヤー・キャラクターと同様にエリートで知的な感じらしいリアルの彼を見てみたい。
「えっと・・・じゃあ、次なんだけど・・・」
バタン!
「何やってんだ、カイト!」
「マーロー・・・?何って、勉強だよ~?」
彼はきょとん、と答える。しかし、ミストラルのように語尾が伸びた。
カイトは悪気もなく笑顔でバルムンクを誉めたたえた。
「バルムンクってさ、先生達より分かりやすい解説してくれるんだよ。すごく頭良いんだ。
何でも知ってるし、ぼくの為なんかに時間割いてくれて。本当にありがとう。」
バルムンクは別にそんなに大げさな事ではない、と小さく微笑んだ。
教師と生徒か。先輩と後輩か。兄弟か。はたまた・・・・・・
それに、何でも知ってるっていうのは?変な事吹き込むなよ?!
マーローが頭をぶんぶんと振って変態な・・・余計な考えを吹き飛ばして彼らを見ると
彼が一番嫌っている奴がカイトの手を取ってなにやら話している。
「大丈夫だ。お前ならやれる!」
「え、本当?嬉しいよ!」
自分なんぞ、いるものの居ない状態。ゴースト状態よりタチが悪い。
なにより、その状態の本人―自分が一番辛い。
そして・・・こう、2人の周りには明るいオーラがあって包んでいるような。
彼はついに行動に出た。
「バルムンク、勝負しろ!表に出ろ!」
しかし相手は冷静に払った。平然とした態度に余裕が見える。
「言葉が古い。ユーザー規約も読んでないのか、お前は?この時点で既に負け犬だな。」
「バルムンクかっこいいね。いきなり「負け犬」だなんてさ。」
―――カ・・・カイトの承認有り?!
マーロー敗北決定。
と、同時に静かにドアが開き、ブラックローズとミストラル、ガルデニアの女3人が現れ、
敗者にシュビレィをかけてからずりずりと引きずって行った。
扉を閉める前にブラックローズがにこっ、と笑った。なにか意味有り気な笑いだったが。
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「いい加減にしてよ、アンタ!アンタの低レベルなおつむじゃカイトのお勉強に付き合えないわよ!」
ブラックローズがキレた。
「リーダーのカイトがテストが近い・・・って言うから一番頭良さげなバルムンクに頼んでるのに。
アンタはいつも自分のことしか考えてなくて邪魔して・・・。三人称視点で見たことないでしょ?!
カイトがThe Worldプレイ出来なくなったらどうしてくれるの。責任どころかアカウント停止っ!!」
・・・マシンガントーク。ミストラルが、もっと言っちゃえ~☆とノリノリ(死語)で応援している。
エルクがぼそりと言った。
「つまり・・・バルムンクより頭がよくなれば、カイトと一緒にいられるんじゃないかな」
同時に何人かの瞳の奥が、ギラリ・・・と不気味に光った。
ブラックローズが窓からちらりと中を見やる。
カイトの背後にバルムンクが回り、肩に手を置きながらなにやら解説している。
両者の顔がかなり接近しているのを見た彼女はあきれた。
「わからないの、カイト?その行動が誤解を招くんだって。ま、誤解じゃなくて事実なんでしょうけど」
ミストラルとなつめが騒ぎながら別の窓で覗き見中。
マーローはどうしたかといえば、既に月長石がロープで柱に固定していた。
そののち、バルムンクがカイトに何かを教えたらしい。
彼女が聞くと、何でもないよ!と慌てて隠していた。
「アンタはまた・・・・・・随分手が早いじゃない。」
保護者の苦労はまだまだ続く。
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