この作品では、リアルでのカイトが海音(かいと)という女の子として描写されています。 また、その友人の少女Aさんを観悠さんと仮定しているようです。
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某所、友人と少女がゆっくりと歩いている。
どうやら今日、TheWorldができそうなんだ~。と、なると、かなり久しぶりのログインになるんだ。
なぜなら今も、テストやらなんやらで忙しくて、パソコンに触れられなかったから。
え、触れられるけど・・・電源は入れられないんだよ(苦笑)
.hackersっていうパーティーのリーダーなんだけど・・・
『朱色の服の双剣士、薔薇色の髪の重剣士、白銀の羽を持つ剣士』
この3人がメインメンバーで、数々の伝説を生み出した、って言われてる。
勿論、ぼくがその双剣士なんだ(笑)
え、なに?今度TheWorldで会おうって?うん、いいよ。
え、携帯の着信ランプが光ってる?
あっ、ありがとう・・・だれだろう。
某所、信号待ちをしている青年がいる。
大学行かずに就職できたのは、こいつのお陰なのかもしれない。
『Balmung』――俺の分身だ。TheWorldではかなり有名な、1つしかないデザインのPCだ。
元々成績は良い方ではあった。中高一貫で、成績ヨシ。それだけではCC社に就職できるわけない。
そう、思わないか?・・・いや、思ってくれ(笑)
多分、GM(ゲームマスター)として就職できたのは、バルムンクとしての名声があったからだと思う。
しかし、昔の俺だったら、あの「人だらけ」な世界には居られなかっただろう。
すべては、あいつによるものだ・・・・・・。俺の今、一番信頼している友。
昼間だし、電話でもしてみるか。日曜だが、忙しかったらすまん。
あいつはテストで当分TheWorldは出来ないだろうから、彼の声を聞くにはこれしかない訳だ。
電話をするまではいいが、なんて言えばいいんだ??
「もしもし、バルムンク?」
『カイト。おはよう(笑)』
「おはよう、て!どうしたの?」
少女が立ち止まり、携帯を大事そうに耳に当てる。
横の友人が嫌味に微笑んで、恋人~?と話し掛ける。
電話の通話部分を押さえて聞こえないようにして、少女――カイトは振り返った。
「観悠っ。聞こえちゃうから黙っててよ」
「え、やっぱりそうなの?海音ってば可愛いからって、中3で彼氏持ちだなんて」
「違うって!」
冷やかす友人に背を向け、携帯から手を離す。
「あっ、ごめん、友達が横でいろいろ言っててさ」
先の信号が青になるようだ。友人がぐいぐいと腕をひっぱるので、仕方なく歩き出す。
『構わないさ。・・・周りが騒がしいようだが、どこか出かけているのか?』
「うん。その音じゃバルムンクも出かけてるんだよね?場所を同時に言おうよ。」
人ごみの中、機械的な音楽の流れる交差点にゆっくりと歩み寄ってゆく。
「せーの」
カイトは道を曲がるタクシーにぶつかりそうになって、右方向に顔を向け――
ごつっ・・・
「ご、ごめんなさいっ。大丈夫ですかっ」
右で反対方向に向かっていた、スーツ姿が決まっている若い男にぶつかってしまった。
彼は笑顔で大丈夫だ、と言った。それを聞いて安心したカイトは、携帯の向こうの相手に話し掛ける。
「ごめん、今、人にぶつかっちゃってー」
「すまなかった。俺も人にぶつかってしまったんだ」
自分の目の前にいた、スーツの青年の会話が聞こえる。
「・・・ん?・・・え?」
――妙に噛み合ってる!?
まさかとは思うが、相手は何も思っていないようなので続けてみる。
「いま交差点渡っててさ、タクシーにぶつかりそうになって右向いたら、どんって(笑)」
「俺も交差点だ。今ぶつかった所にタクシーが居てな・・・。なんであんな所にいるのだか」
――・・・ますます噛み合う・・・
友人に先行ってて、と伝えて、小走りで反対方向に向かう。
「バルムンク、ちょっと立ち止まってて!」
カイトは青年の横を通りかかった。期待のある所為か既に小走りではなく、歩いてしまっている。
「どうかしたか、カイト?」
―――カイト!
「え、と・・・。あの」
携帯を持った腕をだらりと下げて、青年に話し掛ける。
「いま、カイトって、言いませんでした??」
「言いましたが、何か」
「深い意味は・・・ないんですけど。その・・・」
――伝わってない・・・!この人がもしバルだったら、相当鈍感だよ!
どうすればいいんだろう・・・
「かーいとー!なにやってるの?」
「み、みゆ!!」カイトはどきっとして、固まる。「先行ったんじゃ・・・ないの?」
「海音を置いてくわけないでしょ。あれ、この方彼氏?」
場が凍りついた。交差点のど真ん中で、信号が赤になりつつある中で、立ち尽くす人々がいる。
そして、少女は決心した。
「蒼天!」
携帯にでなく、目の前の青年に向かって叫んでみる。
いちかばちか!成功率なんて知るわけない!
こういう出会いってロマンチックなんだろうけれど、ちょっと無理だ・・・
「お前は・・・カイトか?」
「そうだよ、ぼく!」
青年、いや、鈍感な彼は、まだ疑っているようだ。
それは・・・男だと思っていた奴が、実は女だったっていう状態をうまく把握できていないからだろう。
――突如出会ったのが交差点だったのもあるかもしれないが。
「赤信号だからとりあえずあっちに・・・」
「あ、ああ。」
「状況を教えてくれませんかねー、海音ちゃーん」
「うっ」
信号を無理矢理にも(バルムンクの進行方向とは逆の方向だったが)渡り、建物の壁にもたれかかった。
周りから見れば、スーツ姿の若いサラリーマンと、私服の女子中学生2名が壁にもたれかかっているようにしか見えないわけだが・・・
「分かったよ、観悠・・・」
海音――カイトは、彼を指差し、説明する。
「彼はTheWorldの友達。偶然にも、携帯で話してたら隣をすれ違ったんだ。」
一息ついて、今度は彼女を指差し、説明する。
「あの子はぼくのリアルの友達で、今日一緒に出かけてたんだけど・・・」
「つまりは、同じ場所にいたって訳だ」
「・・・驚いた?」
「ああ。お前が女だったとはな」
「ごめん。あの時の話は本当だったんだ」
その時はなんともいえず、会話は終了した。
だが・・・・・・
「あ、今日遊べるから、マク・アヌのゲートで待っててくれる?」
「分かった。じゃあ、6時頃にいる」
「海音、TheWorld?」
「うん。って、まさかなにか・・・」
「まさかー。何もしないよ」
友人は控えめに言った。
しかし。
「海音をよろしくおねがいします。この子、ホントいい子なんですよ」
「なに言ってるんだよ・・・」
「なにって、あなたにこんな素敵な彼氏が居る事が幸せよ、お姉ちゃん。」
「姉じゃないっ」
「お幸せにねー」
バルムンクは呆然と立っていたわけだが、カイトの友人に乗せられ・・・
「ま、まかせろ・・・」
「よ~し、今日は乾杯だね~」
「み・・・・・・・ゆ・・・」
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