忍者ブログ

天球ギャラリー

小説、イラストの保存庫です。
MENU
このサイトは次のURLに移転しました。
http://ten.zemlyan.com/
新URLへ移動します。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

妖精の鏡10

「麓にはいないみたいねぇ」

この辺出身で詳しいというメッキーがぐるっと回って偵察してきて首をかしげた。

「まさか火山の中かも…」
「メッキー、案内してくれ。プックルは一番最後でフローラの背中を守って」
「グルル」

プックルが私の足に頭を擦り付けてきた。
ほんの少しの間なのに大きな動物に懐かれるというのは初めてで不思議な気持ちになった。

毛皮のフードはやめたほうが良かったかなと汗を拭きながら思った頃、ランスアーミーと炎の戦士に囲まれた人影を見つけた。

「アンディ!」

私の叫び声を聞いたメッキーが冷たい息を吐いて敵を振り向かせると、リュカが駆け出すと同時に私の後ろにいたプックルがそれを抜かすように飛び出してランスアーミーを押し倒した。

「バギマ!」

炎の戦士の勢いが弱まった所に剣と牙が襲い掛かって止めを刺した。
ひどく焼け焦げたアンディにリュカがベホイミを唱えると、少し痛みがひいたのか、アンディが熱にうなされながら私の名前を呼んでいるのがはっきりとわかった。

「…アンディ」
「プックル、メッキー。フローラと一緒にルーラでサラボナに戻って彼を届けてくれ」
「リュカは!」
「僕はリングをとってくる」
「私も行かせて」
「でも」

リュカの気遣うような目がこちらを見ている。

「荷物になるかもしれない、けど、回復くらいはできるわ、行きたいの」

自分に自信はない。修道院にいたにも関わらず本と神と向き合う日々で、目の前の人を助ける魔法はベホイミしか得ていなかった。

「荷物だなんて思ってないよ。さ、一緒に行こう」


二匹にアンディを任せて歩き始めてしばらくすると、リュカが言った。

「アンディを助けたら帰るっていうのが本来の目的だったから、フローラも帰るかなと思ったんだけど…」
「あなたが炎のリング取りに行くなんて言わなければ帰っていたわ」

どうもリュカ相手だと昔を思い出して、子供のように張り合ってしまう。

「なんで取りに行くなんて言い出したの?」
リュカが言うのを躊躇するような顔で歩みを速めた。
「あれを倒せたら、話す」
と言って目の前に現れた溶岩のような奇妙なモンスターに駆け出していった。

3匹の溶岩原人との戦いは激しかった。
スカラやバギマを使いこなすリュカでも苦戦して、私は遠くから回復することしかできないしで本当にどうなることかと思いもした。
けれど、幼い頃から書いていたリュカの冒険の記録でリュカは負けなしだった。
私が聞いた限りではリュカが負けたのはゲマただ一人だけだった。


溶岩の海が静かになって、岩場にきらりと光るものを見つけた。
その岩場までの溶岩の海には、先ほどの魔物の死体が冷えて固まって出来た土の橋のようなもので渡しが架かっていて、足を乗せても平気そうだった。
リュカに手を引かれてのぼり、岩場にしゃがんで光るものを手にした。

「これが炎のリング?」

受け取って手のひらで転がしてみた。
紅い水晶に金の輪がついた確かに綺麗な指輪だった。
この溶岩の岩場にあったにも関わらず傷一つなくて、魔法でもかかっているのだろうかと思わされた。
ひょいと私の手の中からリュカの指がリングを持ち上げ、両手で私の手を掴んだ。

「フローラが許してくれるなら」
急に話し出したリュカの目はいつになく真剣だった。
「僕はこのリングを持って…ルドマンさんにフローラが欲しいと言いたい」
「えっ…?」
「だめ?」
「え、ええっと、その…リュカが、私を?」

暑さでなのか恥ずかしさでなのか顔が熱くなるのを感じた。
彼は言い辛いのか少し目を泳がせて、

「他の男のために無茶してほしくないんだ、無茶するなといってもきみはなんでもしようとする人だから、その、僕ならきみが無茶しても側に居て守ってあげられるから…僕も無茶ってヘンリーによく言われるし。
きみは優しくて、人のために無茶なことしようとして……うん、それでいて案外用意周到な所がほっとけないと思った」

告白されているはずなのにおかしくてつい笑ってしまった。

「真面目に言ってるのに」
「ありがとう、私も、何かするならリュカのためがいいわ」
PR

妖精の鏡9

実は家の廊下には非常用の武器が備え付けてあって、モーニングスターという。
杖に鉄球が鎖で結び付けられているもので、近付かずに相手を殴り倒せるものだ。
これをそっと手にとって、修道院から帰ってくる時に来ていたみかわしの服を身に付けて、同じく毛皮のフードとうろこの盾を持って夜中に忍び足でサラボナの門をくぐった。

「フローラ」
「きゃ!」

いきなり掛けられた声に驚いてモーニングスターを振り上げると、降参したように手を上げたリュカが立っていた。

「きみは…ほんと、見かけによらず無謀な人だなぁ…」
「炎のリングをとりにいくだなんて、行って見なければその辛さはわからないわ。
お父さまは簡単に言うけど、普通の暮らしをしてる人を巻き込みたくなんてないの」
「そういう君だってなにその重装備」
「私だってアンディにとりにいけるとは思ってないわ、せめて麓まで行って追いついて止められないかしらって」
「昔から困ったお嬢様だね、フローラは…」

リュカはあげていた手を下げて、差し伸べてきた。

「僕がついていくよ。フローラにはお世話になったから…だから僕がフローラの剣にも盾にもなろうじゃない」
「あなたも昔からその言い方変わってないわ」

手を重ねてがっちりと握手した。

「よろしくね、リュカ」


馬車は置いてきたというリュカについてきたのはキラーパンサーとキメラだけで、リュカはキラーパンサーのことを昔はなした大猫だと笑った。

「猫にしては大きいなと思ったんだけど、やっぱりモンスターだったよ」

あははと笑うリュカに釣られて笑いながらモンスターたちを撫でた。

「プックルちゃんもメッキーも澄んだ目をしてるのね。リュカのこと好き?」
「グルル!」
「好きだからついてきたのよ~?」
メッキーが耳元で囁いてきた。
「リュカだって、あなたのこと好きだからついてきたのかもよ?」
「!!」
思わず耳まで赤くなってしまって、仕返しにイタズラっ子メッキーの尻尾をぎゅっと掴んだ。


リュカは本当に強くて、パパスさんの形見だという剣で敵を蹴散らしていった。
私が回復魔法を使えるということを知ると、メッキーも回復をやめてブーメランを器用に振るうようになった。
夜が明ける頃、「実はルドマンさんからも頼まれて」とリュカがつぶやいた。
頼まれていたことを言わないで居るのには罪悪感があったらしい。

「ルドマンさんはアンディはどうでもいいにしても、フローラが無茶なことをしなければいいけれどもって言ってた。
念のために街の外で待ってたけど、まさかそんながっちり装備してくるとは思わなかったよ…」
「用意は入念に、ですわ」
「そうだけど…」

ねえ、と声をかけてくる。

「アンディのこと好きってわけじゃあないの?」
「アンディはただの幼馴染よ…。
あの人にドキドキしたこととか無かったわ、ほんとに友達なの」
「好きで、無茶してほしくないのかと一瞬考えたよ」
「いやね、みんなそうやって疑うのよ」
「そっか」

リュカはそれ以降何も言わなかったけれど、何を考えていたのだろう。
それを当てようとあれこれ考えるけれどわかるはずもなかった。

妖精の鏡8

リュカの手を引いて家に戻ると、玄関に入ってすぐ、父の大きな声が聞こえてきた。

「アンディ、何度言ったらわかるのかね。フローラを君のような一介の画家にはやれんのだよ!」
「それでもフローラと結婚したいんです!」

幼馴染のアンディは最近頻繁に我が家を訪れて、父に私との結婚を申し込んでいるらしかった。
私からしたらアンディは幼馴染であってそれ以上ではなかったのにと何か心苦しい。リュカが驚いたように肩をたたいてきた。

「フローラ、結婚するの?」
「いやだわ…そんなのお父さまが言ってるだけよ…」
アンディとのやり取りがループし始めた頃、そっと広間の扉を開いた。
「お父さま」
「フローラ!どこへいっておったのだ…ん?」

私が連れてきたのが男の人だとわかると、しかも手を引いてきたことでさらに父の顔が険しくなった。

「こちら、パパスさんの息子さん、リュカさんよ」
「パパス殿の!なんと!」

父の険しかった顔が急にぱっと明るくなった。
「客人だ!ああ、アンディには今日はお引取り願いなさい」

住み込みのお手伝いさんたちがアンディの背中を押して玄関へと押し出していった。
それを何事かと不思議そうな目で見送ったリュカは、改めて父に向き合って頭を下げた。

「ルドマンさん…お久しぶりです」
「道中の話はあちらでたっぷりと聞こうぞ、さあさあ」

父に案内されて豪奢なテーブルに落ち着かない様子で腰を下ろしたリュカに、父は明るく話しかける。

「パパス殿はお元気かね?」
「それが…」

パパスさんがラインハットでのヘンリー王子誘拐騒動に巻き込まれてゲマという男に殺されたこと、神殿の建設に奴隷として10年間働かされていたことなどを話し終わったとき、父はハンカチをしっかり濡らしてため息をついた。

「連絡の取れぬ間にそんなことがあったとは…!さぞお辛かっただろうに。
パパス殿は話の分かる立派な方じゃった、うちにはいつ来ていただいても構わん、行く先があるならば援助しよう」

温かいティーカップを手に、ありがとうございますとリュカが言った時、まだ玄関の方から僕は諦めないぞなんていう叫び声が聞こえてきた。

「あの…さっきの人はなんだったんですか?」

リュカが静かに切り出した質問に、胸がぎゅっと締め付けられた。

「フローラも年頃の娘だ、強い男に嫁がせたいと思うのが親心というものだろう?
あのアンディというのはフローラの幼馴染じゃが、とてもフローラを守りぬける強さがあるとは思えん」
「お父さま…そのお話は」
「フローラ、分かってくれ…」
「ですが、この間だっていらっしゃった旅の方に2つのリングを取って来いだなんて無茶なこと…」

お手伝いさんたちを振り払って広間に駆け込んだアンディが凄い形相でこちらを見据えた。

「それをとってきたら僕を認めてくれますか」
「…そうなれば、君の強さは認めよう。しかし、君にできるとは思わん」
「お父さま…!」

そんなことを言ったら煽るだけなのに、と双方の顔色を伺う。

「フローラ、僕は必ずリングを取ってくる。
リングを取ってきた者にフローラと結婚する権利があるならそうする!」
「アンディ!」

言い切ってアンディが勢い良く飛び出して行った。

「お父さま…っ!もう私は、私のせいで人が無茶なことをするのは耐えられません!」
「だが2つのリングを揃えるほどの者でなければおまえを任せられん…」
「ああもう、そんなリング、私が揃えてしまえればいいのに!そうしたら私のために人が悩むことなんて」
「フローラ、おまえまで無茶なことを言うでない」

聞いてられない、そう思って立ち上がって自室のほうに走り出した。

「フローラ!」

妖精の鏡7

あれからさらに6年の歳月が流れて私は修道院から帰ってきた。
修道院に居る間夢が繋がることは無かった、きっとそれはポピーのくれた花びらが家の鏡にくっついていたからだと思うから、本当に仕方の無いことだった。
リュカが奴隷となって傷だらけで暮らしていることを考えたら神に祈らずには居られなかった。

(神様って、居るのかしら)

何度もそう思った、おそらく居るのだと思うけれども、なんであんな辛い人が沢山居るのに神様は何もしないのだろうと恨んだものだった。
6年の間、修道院で身につけたことは沢山あった。
修道院にある本はとことん読みつくしてしまって、買出しにオラクルベリーに行く時に学者のおじいさんを尋ねて色々な本を貸してもらったりもした。
わかったことは、伝説のお話の中でも神様は悪い心を持つ者たちを自ら討伐したりしなかったということだった。

(どこかにいるといいのだけど。伝説の勇者様のような方が)

父が持っている天空の盾が証明するように、かつてこの世界が悪に滅ぼされかけた時、天空の武具を携えた勇者とその仲間たちが世界を救ったという。
いま思えばパパスのような人こそ勇者だったのではないかと感じるけれど、父は、パパスでも天空の盾に触れることは出来なかったと言っていた。

(修道院から帰ってきて結婚するというのはイヤ、だけどサラボナにいればなにかそういう情報くらいつかめないかしら、リュカを救えないかしら)

修道院から帰ってきて自分の部屋を覗くと、昔置いてあったぬいぐるみなどは部屋の隅のほうに片付けられていて、鏡についた花びらもなかった。
もう夢で繋がることはできない。妖精の鏡に頼ることできなくなった。
なら、大人になった自分にできることは、ルドマンのネットワークを使うこと以外にない。

(リュカのため…)

ぐっと拳を握って、昔ポピーが飛んでいた庭を眺めた。

「ポピー、恋ってこういうことなのかしら…。好きな人のためになんでもしてあげたいって思うの」

昼間だから返事があるはずはない。
どこかの童話で読んだ通りなら、妖精は大人になると見えなくなってしまうそうだからどのみち私には見えないのだと思う。
けれどポピーならどこかで聞いている気がした。

「ワン!」
「きゃ、リリアン!どこへいくの!」

数ヶ月前にサラボナに帰ってきた日、父が白い犬をもらってきた。
見た目は小さいけれど凄く強気な犬で、大きな犬にも平気で吠え掛かって、お手伝いさんにも父にも母にも吠え掛かる犬だった。
私の言うことはいつも聞いてくれて、私の前では大人しい犬のはずなのに、急に街のほうに走り出すと止まらなかった。

「ああもうっ、なんて窮屈な服」

ルドマンの娘という体面上、修道院で習った作法上、スカートを持ち上げて走ることは許されないだろう。
おまけにコルセットが食い込んでスピードを出して走ることが出来ない。そして結い上げた髪が、顔の皮をきつく後ろに引っ張るのが苦しかった。

「はぁはぁ、だれか…っ、その犬を止めてくださいー…!」

街の外に飛び出そうとしたリリアンが急にスピードを落とし、通りかかった旅人に尻尾を振っている。
旅人がしゃがみこんで犬を撫でているのを見て、ほっとしてゆっくりと近付いた。

「すみません、ありがとうございました…急に走り出すんだからこの子ったら」

屈んでリリアンを撫でていた男の旅人が顔を上げた瞬間、目が合った。

「リュ…」
「フローラ!」

立ち上がって肩をつかまれた。

「フローラなのかい…!?」
「リュカ…!」

そこには見上げるほどに背が伸びたリュカが立っていた。
凛々しい顔つきはパパスそっくりで、優しげな瞳が私を射抜くように見つめていた。

「サラボナに来れば君に会えると思って…」
「私も会いたかった…」

夢で会った時のように胸に引き寄せられて、きつく抱きしめられる。
街の人の視線は気にならない。
愛してる、そういう気持ちで一杯になって瞼を閉じて体を預けた…

妖精の鏡6

夢を見た日から5年の時が経った。
リュカと約束した本を書こうと思ったけれども、書くにしては文字をしらなすぎた私は母に頼んで読み書きを沢山教えてもらうことにした。
父もそれを喜んでサラボナで名高い先生を呼んでくれたり、世界の物語を買ってきてくれたりした。
昼間はそれで忙しくて、夜こっそりと明かりをつけてペンを握る生活を続けていた…

あの晩リュカから聞いた冒険を紙に書き留めて、ようやく妖精の国の話まで書き終えたところだった。

(どうしても今月中に書き終えなきゃいけなかった…)

来月から私は修道院に行くことになってしまった。
読み書きが熱心で、本が好きでという私によりよい学びをと思ったのも少しはあるんだと思う。けれども夜起きていたから聞こえてしまった話もあった。
修道院に行かせるのは花嫁修業だって、父が言っているのを聞いてしまった。
花嫁修業より、私はもっといろんなことを知りたかった。
昔のように世界を回りたかった。リュカのように冒険をしてみたかった。
サラボナで裕福な暮らしをしていることに、どこか悪い気がしていた。

「もう寝なきゃ、明日は大変だわ」

紙を鍵のついた机の引き出しに閉まって、倒れこむようにベッドに転がった。

「リュカ…元気にしているかしら…」



薄暗がりの中、ごつごつとした岩が見える。
岩をくりぬいた燭台に刺さったろうそくの火が風もなくゆらゆらと不気味にうごめいていた。

「ここは…」

岩に手をつきながらゆっくりと狭い通路をすすむと何か広い場所に出た。
同じく無造作に灯されたろうそくの火でぼんやりと見えるこの部屋の中は入り口からではよくわからない。
…ゴホゴホと咳き込む声がして足元に誰かが寝ていることに気付いた。
しゃがんで見ると、ボロボロの服を来た年配の女性が布団もかけずに藁のような敷物の上に横になっていた。

「いったいここは、なんなの…?」

部屋の中に思い切って足を踏み入れると、その惨状に唖然としてしまった。

「ひどい…!」

怪我をした人も老人も子供も、藁の上でボロボロの服を着て寝ている。
窓がないからわからないけれども、夜なのだろう。疲れきっているらしい人々はぴくりとも動かずに眠りについていた。
中にはうなされている人も居て、時々苦しげな声が聞こえてくる。部屋の中に、横になっていない人がいるのが見えた。

「ヘンリー…必ず僕たちはここを出る、あきらめちゃいない」

体育座りをしたその人は、ふと私のほうをみて、いきなり立ち上がった。

「フローラ…?!」
「あ…」

寝ている人を踏まないように、でも慌てて人が走ってくる。
近付くほど、このようなところに居るはずのない人であることがわかって、何事かと、両手を伸ばして彼の腕に飛び込んでしまった。

「リュカ…、リュカなの…?」

いつの間にか少し見上げなければいけないほどに大きくなって、声も少し低い。
だけれども、ろうそくが照らし出すその瞳は昔と変わらない、引き込まれるような不思議な瞳で、汚れた顔や赤くはれた頬であってもしっかりとリュカであることを物語っていた。

「フローラ…!これは、これは…夢なんだね…」
「いったいどうなさったの…こんなところで、パパスおじさまは?サンチョさんは?プックルちゃんは?」
「父さんは死んだ…っ」
「…!」

強い力で抱きしめられるのを感じた。怒りに震える声が耳元で囁いた。

「ゲマって魔物が、父さんを…っ」

あのたくましくて立派なパパスが…記憶の中でも鮮やかによみがえるパパスが、この世にいないだなんて、考えもしなかった。
リュカも自分と同じように平和な日常を送っているのだと思っていた。

「リュカ…」

私はリュカの頬に口付けた。
驚きでぽかんとしているリュカの額に額をこつんとぶつけた。好きな人が辛くて悲しんでる時はこうするものだって本に書いてあったから。

「辛くなかったら、話して…」

リュカは私を抱きしめたまま、ひとつひとつ話し始めた。
ラインハットで父がヘンリー王子の護衛を引き受けたこと、自分はヘンリー王子の遊び相手だったこと。
それからまもなくヘンリー王子が誘拐され、誘拐先で自分たちを逃がすためにゲマに殺されたこと…

「絶対、ここを出て…、母さんを探すんだ…!父さんの仇を討つんだ…」
「ああ…なんて言ったらいいかわからない、私に何かできることがあったらいいのに…」
「覚えてる、もう何年前だったか、君が僕の夢に出てきてくれたこと。
今日もそうなのかな?君がここにいるはずないものね…」

名残惜しげに腕を離そうとするリュカを引き止めた。

「朝が来て、夢が終わるまで…」
「一緒に居てくれるの?」
「居てもいいの?」
「居て欲しい…」

再びリュカに抱きしめられながら、今度はヘンリー王子の話を沢山聞いた…

× CLOSE

What's New

メニューはBlog上部にあります。
★ Readme>当サイトについて をご一読の上、自己責任でご閲覧ください★

HIT >>次480000

最終更新: 移転しました。(07/30)

管理人:古川晃
 

拍手・コメントなどお気軽にどうぞ

アンケート

Quickvoter

Q.第2回更新してほしいジャンル投票

主ミレ(DQ6)
主フロ(DQ5)
DQ9
海闇(遊戯王)
マテリアルパズル
その他
※作品傾向:エロ

ブログ内検索

management

アクセス解析

× CLOSE

Copyright © 天球ギャラリー : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]