アウラ。キミは何をぼくに伝えようとしていたの?
書物と不正能力・・・・・・何を表しているの?
ぼくは何をすればいい?
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Σサーバー ルートタウン フォート・アウフ。
ブゥン・・・
慣れた音がカオスゲートから響く。最初は驚いたけど今はなんとも思わない。
・・・・・・ぼくの日常生活の中のひとつにいつの間にかなってしまっていた、この音。
それと同じように、ぼくだけにあるデータドレインの腕輪もぼくの身体の一部になっていた。
事態が深刻化してミストラルは去り、ミアやエルクとは連絡不通。
痛かった。パーティーの中でもかなり古参だった、母親のように優しかったミストラルが去った事。
イタズラ好きなネコPCや超強力な魔法を使っていつも援護してくれた呪紋使いと会えない事。
気付いたら、ぼくの心になにかぽっかりと穴が開いていた。
でも、ウィルスバグの発生したとあるエリアへ行った事が新しい道を作るきっかけになった。
ぼくは新しい仲間を得たんだ。古参の仲間達を失って、気付いて、そして新しい仲間を得た。
その時とても嬉しかった。そして、そこへ向かったのが自分一人だったことを喜んだ。
今日は・・・・・・妖しげなエリアの探索でもしようかな。LVアップも兼ねて。
会えなかった人やゲームを止めていた人とも会えるようになった今なら気が楽だ。
「カイト」
今ゲートから現れたばかりの羽根のついた剣士が自分を呼んだ。
ぼくは振り返って彼に駆け寄る。
「バルムンク、おはよう!丁度今メールを出そうと思ってたんだよ。」
「そうか、丁度いい。LV上げを兼ねて高レベルなエリアにでも挑戦してみるか?」
「え、ぼくのLV上げにつきあってもらっていいの?」
「何を言ってるんだお前は!俺達は仲間だろう、それぐらい喜んで付き合うぞ。」
彼はカオスゲートのランダムを使い、適当にLVの高いエリアを選択した。
「これでいいか?」
「うん、いいよ。頑張ろうね、バルムンク!」
「・・・・・・哀切なる 約束の 旋律。なんかアウラ系じゃない?」
エリアに入ってから気付いた。哀切なる・・・が彼女を思い出させる。
しかも天気が暗い。雷である上に夜、そして雨。
「アウラ系、新しい単語の誕生だ。・・・それにしても遠足に不適な天気だな。」
「遠足を夜にはしないよι」
彼が暗雲で埋め尽くされた光のない空を見上げながらつぶやいた。
「アウラ、その存在は不明だ・・・。だが、お前の存在は確かだ。いくらあの力を使おうとも。」
思わず腕輪に目をやってしまう。まだバルムンクはこの腕輪に対して何か思うことがあるのかもしれない。
「だが、正しい心で使えば世界は救われる。お前だからこそ、アウラは渡したのかもしれない。」
バルムンクは難しそうな顔をする。そう言われるとなんだか照れくさくて笑いながら言ってみる。
「でも最初オルカに渡そうとしてたじゃない?ぼくはその代理なんじゃ・・・」
「そんな事を言うな!・・・言っておくが、こんなに無駄な会話をした仲間はお前が初めてだ。
だが、そういう会話ができる奴こそが真のパートナーなのかもしれないな。」
ぼくは苦笑いした。蒼天のバルムンクと名高い彼に「パートナー」なんて言われるとは思わなかった。
「ぼくはまだ力不足だよ。」
「一人で抱え込むな、カイト。なにかあったらなんでも相談してくれ。どんなくだらない事でもいいからな。」
彼が少し微笑んだように見えた。その微笑があまりに素敵で驚く。PCの表情とはいえ
声からも感情は伝わる。彼のPCがかっこいいからかもしれないが、自分には本当に素敵に思えた。
その素敵な人にパートナーだと思われていることがとても誇りに感じる。
「バルムンク、そうやって笑ってたほうがカッコイイよ。」
「笑う!?俺が?・・・・・・むぅ、意識してなかった。」
ぼくらは歩き出した。目的に関係のない話ばかりしながら。
「カイトー♪おはよう!」
「ミストラル、おはよう!・・・ってバルムンク?」
「すまない、もう時間なのでオチる。また誘ってくれたら嬉しい。」
「あ、うん・・・またね。」
「・・・私が来たからって逃げなくてもいいのに。」
Δサーバー水の都・マク・アヌに一人、双剣士の少年が現れた。と、そこへ。
「やっほ~」
「ミストラル!」
カオスゲートからキャピキャピしたギャル風の呪紋使い・ミストラルが出てきた。
ミストラルの手にはたくさんのアイテムが握られていて、よくみればレアものばかりだった。
「でも大した事なかったよ。やっぱりΛ以降の方がいいんだろうね・・・。うーん」
「少し持とうか?」
「ありがとー、カイト!」
少年の優しい言葉に甘え、彼女はアイテムをどさどさと彼の手に渡していく。
そして半分程度を彼に渡し終わると、妖精の預かり屋へ行くから来てくれる?と言った。
彼はヒマだったこともあって彼女に付いていくことにした。
が、このなにげない行動がのちに彼の運命を大きく変えることになってしまうとは誰も思わない。
「カイトにとって相棒・・・って誰なの?」
彼女はよたよたと歩くカイトを見ながら微笑んで言った。その問いに彼は首を捻る。
「相棒?旅の友でしょ?・・・誰かな。」
ミストラルはブラックローズとか?と、意味ありげな表情で尋ねる。
「でも、ブラックローズってお姉さんって感じがするんだよね。どっちかっていうと家族・・・」
「バルムンク」
唐突にミストラルがつぶやいた。
「へ?」
「だってバルムンクと仲いいじゃん~。コンビネーションもグー!じゃない?」
「確かにバルムンクと居ると安心できるけど・・・それが相棒っていうのかな?」
「いいの、いいの。そういうことで♪」
カイトは彼女の言葉の意味を理解できなかったが、彼女は別の話題に振った。
「ところで、お願いがあるんだけど、やってくれる・・・?」
同時刻、Λサーバータウン―カルミナ・ガデリカ。
白銀の鎧を身に着けた美形の剣士が路地を歩いている。
彼に、歩いてきた呪紋使い・ワイズマンが声をかけた。
「バルムンク、奇遇だな」
「ワイズマン・・・どうかしたか?」
「ミストラルから頼まれてな。こういうことなんだが・・・・・・」
「ミストラルも・・・よくこんなエリア見つけるなぁ」
カイトは一人で来てしまった事を後悔した。
なぜならここはレアアイテムばかり。プラスしてウィルスバグモンスターばかりのエリア。
カイトならとって来られるよね・・・?と、某レアアイテムを取って来るようお願いされたのだ。
「でもなんでボク一人で行かせたんだろう?・・・って、うわっ!」
彼が気配を察知した頃には周囲にたくさんのウィルスバグモンスターが集まってしまっていた。
剣を構え、見渡す。ざっと見ただけで4匹は居る。サイズはLばかりだし、一人ではつらいかもしれない。
「でも大丈夫って言っちゃったから頑張らないと!」
彼は余裕な表情でモンスターの群れの中に飛び込んでいった。
地下3階。さすがの彼も、広範囲に効くが身体には痛いドレインアークを使いすぎてヨロヨロだった。
それでも苦笑しながらなんとか最後の部屋に辿り着いた。
「うーん、ここで戻ったらバルムンクに言われるだろうね。無様だって。」
カイトは最後の部屋の前で回復をし、自分の受けた仕事には自信を持たないと・・・と気合をいれた。
が。
「えっ、ちょ・・・ちょっと待っ・・・、こんなにいるなんて聞いてないよ!」
入ってすぐ、S型モンスターが沢山居る事に気付く。しかも見事に属性がバラバラだ。
「オラバクローム!ラジュローム!ギライローム!」
片手に気魂を持ち、遠距離から魔法攻撃を浴びせまくる。
SPが尽きたらすぐに気魂を使う。繰り返してやっとデータドレインが可能になる所まで来た・・・!
「暴走しませんようにっ!ドレインアークーッ!!」
バチィイッ!!!!
「うわッ!・・・麻痺したっ!?まずい!」
カイトがドレインアークを使い、モンスターのバグが正常化された・・・が、腕輪は暴走した!
最悪の事態が訪れた。バグは戻ったものの、弱体化されたわけじゃないのが痛い。
彼は最後まで人のことを心配して叫ぶ。
「ミストラルー!ごめんーッ!」
「こんな時にまで他人の心配か、カイト。お前はそこでじっとしていろ!」
「バル・・・」
バルムンクは、なにかいいたげなカイトを左肩に担いで右手に握った剣でモンスターを薙ぎ払った。
全てを倒し終わるとバルムンクは彼を降ろし、睨みつけた。
「無茶はするな!」
「ごめん・・・・・・」
「まあいい、困った事があったら俺を呼べ。いつでも助けに来る。」
ミストラルとなつめがその会話を後ろで隠れて聞いていたのは彼らは知らない。
そして、ヘルバによって「カイトを担いで剣を振るうバルムンク」の画像データが世間に出回ったことも。
「ミストラル、あんた何仕組んだの?」
「ブラックローズに言ったらおこられそうだから言わないよ♪」
(あの二人なら姿形的にお似合いだし・・・今度からあの二人マークしちゃおうかな~)
