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妖精の鏡11

あれからサラボナに戻った私はドキドキしすぎてリュカの顔を見ることが出来なかった。
溶岩の海でプロポーズされる女なんて、ポピーが聞いたらどう思うのだろう。
リュカに手を引かれてサラボナの道を歩くけれども、溶岩のところでフードが焦げて使い物にならなくなったから顔は隠せない。

「町の人が見てるわ…」
「そりゃあ、ルドマン家の令嬢がそんな格好で歩いてるからだよ」
「…フードをとらせたのはあなたじゃない」
「フローラは僕のものだって言って歩いてる気になるね」
「リュカのいじわる!」

家につくと、まずお手伝いさんたちに囲まれた。

「お嬢様!そんな格好でどこへいってらしたのですか!」
「お父さまを呼んで!炎のリングはここにあるわ」
「炎のリングですって?!」

お手伝いさんたちがバタバタと走り始めた。
私やリュカが広間に入ると、父が二階から転げそうな勢いで駆け下りてきた。

「フローラ!どこへ行って居ったのだ!その格好はっ」
「火山に行ってきましたわ、アンディを連れ戻しに、それから…」

リュカが袋の中から炎のリングを取り出して父に手渡した。

「ルドマンさん、炎のリングを取ってきました。僕は水のリングも取りに行くつもりです」
「は、…なぬ?!」
「まあ、もう行くつもりなの?私も…」
「ま、待った!何の話だ!一から説明せんかっ」


父は溶岩原人を倒してリングを手に入れたところまで聞いて、気が良くなったようだった。
私が無茶して深夜に抜け出して火山に出かけようとしたこともリュカの武勇伝で少し流れたと信じたい。

「このリングは、僕とフローラで手に入れました。
フローラは回復呪文が本当に上手で、何度救われたかわかりません。
だからフローラの話も聞いてあげて欲しいんです」

私が回復呪文を使えること自体、父は知らなかっただろう。

「私、2つのリングを私が手に入れられたら、私のために危険なことをする人もいなくなると思って…」
「ルドマンさん、フローラの言うこともあると思います。
だから水のリングを取りに行きたい、けど、それ以上に僕は…。
水のリングを手に入れたら僕がフローラに結婚を申し込んでもいいのでしょうか?」

遠まわしな話で父もよくわからない顔をしていたが、最後の部分を聞いた父は徐々に理解できてきたようだった。
聞いているだけで顔が赤くなりそうで二人を見ていられなかった。

「な!…そうか、そうかそうか!!それ以上に嬉しいことはない!
そういうことなら船を用意しよう。
水のリングはサラボナに流れる川の上流の湖、その北の滝の中にあるといわれているのだ。
いやあ、めでたい、めでたいぞ!
わしはパパス殿のような勇敢な男に婿になってもらいたいと思っておった。
いまの君はパパス殿そっくり、なんと凛々しいことか」


リュカが帰ってくるまでサラボナで大人しく待っていたらどうかという父の提案はリュカがなんとか説得してくれたらしかった。
父が用意したいかずちの杖を着けて、リュカの横に並んだ。

「あなたと冒険できて嬉しい…」
「フローラが居てくれたら、僕も思う存分無茶できるね」

ふふっとお互い笑って手を取り合った。
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