忍者ブログ

天球ギャラリー

小説、イラストの保存庫です。
MENU
このサイトは次のURLに移転しました。
http://ten.zemlyan.com/
新URLへ移動します。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

妖精の鏡8

リュカの手を引いて家に戻ると、玄関に入ってすぐ、父の大きな声が聞こえてきた。

「アンディ、何度言ったらわかるのかね。フローラを君のような一介の画家にはやれんのだよ!」
「それでもフローラと結婚したいんです!」

幼馴染のアンディは最近頻繁に我が家を訪れて、父に私との結婚を申し込んでいるらしかった。
私からしたらアンディは幼馴染であってそれ以上ではなかったのにと何か心苦しい。リュカが驚いたように肩をたたいてきた。

「フローラ、結婚するの?」
「いやだわ…そんなのお父さまが言ってるだけよ…」
アンディとのやり取りがループし始めた頃、そっと広間の扉を開いた。
「お父さま」
「フローラ!どこへいっておったのだ…ん?」

私が連れてきたのが男の人だとわかると、しかも手を引いてきたことでさらに父の顔が険しくなった。

「こちら、パパスさんの息子さん、リュカさんよ」
「パパス殿の!なんと!」

父の険しかった顔が急にぱっと明るくなった。
「客人だ!ああ、アンディには今日はお引取り願いなさい」

住み込みのお手伝いさんたちがアンディの背中を押して玄関へと押し出していった。
それを何事かと不思議そうな目で見送ったリュカは、改めて父に向き合って頭を下げた。

「ルドマンさん…お久しぶりです」
「道中の話はあちらでたっぷりと聞こうぞ、さあさあ」

父に案内されて豪奢なテーブルに落ち着かない様子で腰を下ろしたリュカに、父は明るく話しかける。

「パパス殿はお元気かね?」
「それが…」

パパスさんがラインハットでのヘンリー王子誘拐騒動に巻き込まれてゲマという男に殺されたこと、神殿の建設に奴隷として10年間働かされていたことなどを話し終わったとき、父はハンカチをしっかり濡らしてため息をついた。

「連絡の取れぬ間にそんなことがあったとは…!さぞお辛かっただろうに。
パパス殿は話の分かる立派な方じゃった、うちにはいつ来ていただいても構わん、行く先があるならば援助しよう」

温かいティーカップを手に、ありがとうございますとリュカが言った時、まだ玄関の方から僕は諦めないぞなんていう叫び声が聞こえてきた。

「あの…さっきの人はなんだったんですか?」

リュカが静かに切り出した質問に、胸がぎゅっと締め付けられた。

「フローラも年頃の娘だ、強い男に嫁がせたいと思うのが親心というものだろう?
あのアンディというのはフローラの幼馴染じゃが、とてもフローラを守りぬける強さがあるとは思えん」
「お父さま…そのお話は」
「フローラ、分かってくれ…」
「ですが、この間だっていらっしゃった旅の方に2つのリングを取って来いだなんて無茶なこと…」

お手伝いさんたちを振り払って広間に駆け込んだアンディが凄い形相でこちらを見据えた。

「それをとってきたら僕を認めてくれますか」
「…そうなれば、君の強さは認めよう。しかし、君にできるとは思わん」
「お父さま…!」

そんなことを言ったら煽るだけなのに、と双方の顔色を伺う。

「フローラ、僕は必ずリングを取ってくる。
リングを取ってきた者にフローラと結婚する権利があるならそうする!」
「アンディ!」

言い切ってアンディが勢い良く飛び出して行った。

「お父さま…っ!もう私は、私のせいで人が無茶なことをするのは耐えられません!」
「だが2つのリングを揃えるほどの者でなければおまえを任せられん…」
「ああもう、そんなリング、私が揃えてしまえればいいのに!そうしたら私のために人が悩むことなんて」
「フローラ、おまえまで無茶なことを言うでない」

聞いてられない、そう思って立ち上がって自室のほうに走り出した。

「フローラ!」
PR

妖精の鏡7

あれからさらに6年の歳月が流れて私は修道院から帰ってきた。
修道院に居る間夢が繋がることは無かった、きっとそれはポピーのくれた花びらが家の鏡にくっついていたからだと思うから、本当に仕方の無いことだった。
リュカが奴隷となって傷だらけで暮らしていることを考えたら神に祈らずには居られなかった。

(神様って、居るのかしら)

何度もそう思った、おそらく居るのだと思うけれども、なんであんな辛い人が沢山居るのに神様は何もしないのだろうと恨んだものだった。
6年の間、修道院で身につけたことは沢山あった。
修道院にある本はとことん読みつくしてしまって、買出しにオラクルベリーに行く時に学者のおじいさんを尋ねて色々な本を貸してもらったりもした。
わかったことは、伝説のお話の中でも神様は悪い心を持つ者たちを自ら討伐したりしなかったということだった。

(どこかにいるといいのだけど。伝説の勇者様のような方が)

父が持っている天空の盾が証明するように、かつてこの世界が悪に滅ぼされかけた時、天空の武具を携えた勇者とその仲間たちが世界を救ったという。
いま思えばパパスのような人こそ勇者だったのではないかと感じるけれど、父は、パパスでも天空の盾に触れることは出来なかったと言っていた。

(修道院から帰ってきて結婚するというのはイヤ、だけどサラボナにいればなにかそういう情報くらいつかめないかしら、リュカを救えないかしら)

修道院から帰ってきて自分の部屋を覗くと、昔置いてあったぬいぐるみなどは部屋の隅のほうに片付けられていて、鏡についた花びらもなかった。
もう夢で繋がることはできない。妖精の鏡に頼ることできなくなった。
なら、大人になった自分にできることは、ルドマンのネットワークを使うこと以外にない。

(リュカのため…)

ぐっと拳を握って、昔ポピーが飛んでいた庭を眺めた。

「ポピー、恋ってこういうことなのかしら…。好きな人のためになんでもしてあげたいって思うの」

昼間だから返事があるはずはない。
どこかの童話で読んだ通りなら、妖精は大人になると見えなくなってしまうそうだからどのみち私には見えないのだと思う。
けれどポピーならどこかで聞いている気がした。

「ワン!」
「きゃ、リリアン!どこへいくの!」

数ヶ月前にサラボナに帰ってきた日、父が白い犬をもらってきた。
見た目は小さいけれど凄く強気な犬で、大きな犬にも平気で吠え掛かって、お手伝いさんにも父にも母にも吠え掛かる犬だった。
私の言うことはいつも聞いてくれて、私の前では大人しい犬のはずなのに、急に街のほうに走り出すと止まらなかった。

「ああもうっ、なんて窮屈な服」

ルドマンの娘という体面上、修道院で習った作法上、スカートを持ち上げて走ることは許されないだろう。
おまけにコルセットが食い込んでスピードを出して走ることが出来ない。そして結い上げた髪が、顔の皮をきつく後ろに引っ張るのが苦しかった。

「はぁはぁ、だれか…っ、その犬を止めてくださいー…!」

街の外に飛び出そうとしたリリアンが急にスピードを落とし、通りかかった旅人に尻尾を振っている。
旅人がしゃがみこんで犬を撫でているのを見て、ほっとしてゆっくりと近付いた。

「すみません、ありがとうございました…急に走り出すんだからこの子ったら」

屈んでリリアンを撫でていた男の旅人が顔を上げた瞬間、目が合った。

「リュ…」
「フローラ!」

立ち上がって肩をつかまれた。

「フローラなのかい…!?」
「リュカ…!」

そこには見上げるほどに背が伸びたリュカが立っていた。
凛々しい顔つきはパパスそっくりで、優しげな瞳が私を射抜くように見つめていた。

「サラボナに来れば君に会えると思って…」
「私も会いたかった…」

夢で会った時のように胸に引き寄せられて、きつく抱きしめられる。
街の人の視線は気にならない。
愛してる、そういう気持ちで一杯になって瞼を閉じて体を預けた…

妖精の鏡6

夢を見た日から5年の時が経った。
リュカと約束した本を書こうと思ったけれども、書くにしては文字をしらなすぎた私は母に頼んで読み書きを沢山教えてもらうことにした。
父もそれを喜んでサラボナで名高い先生を呼んでくれたり、世界の物語を買ってきてくれたりした。
昼間はそれで忙しくて、夜こっそりと明かりをつけてペンを握る生活を続けていた…

あの晩リュカから聞いた冒険を紙に書き留めて、ようやく妖精の国の話まで書き終えたところだった。

(どうしても今月中に書き終えなきゃいけなかった…)

来月から私は修道院に行くことになってしまった。
読み書きが熱心で、本が好きでという私によりよい学びをと思ったのも少しはあるんだと思う。けれども夜起きていたから聞こえてしまった話もあった。
修道院に行かせるのは花嫁修業だって、父が言っているのを聞いてしまった。
花嫁修業より、私はもっといろんなことを知りたかった。
昔のように世界を回りたかった。リュカのように冒険をしてみたかった。
サラボナで裕福な暮らしをしていることに、どこか悪い気がしていた。

「もう寝なきゃ、明日は大変だわ」

紙を鍵のついた机の引き出しに閉まって、倒れこむようにベッドに転がった。

「リュカ…元気にしているかしら…」



薄暗がりの中、ごつごつとした岩が見える。
岩をくりぬいた燭台に刺さったろうそくの火が風もなくゆらゆらと不気味にうごめいていた。

「ここは…」

岩に手をつきながらゆっくりと狭い通路をすすむと何か広い場所に出た。
同じく無造作に灯されたろうそくの火でぼんやりと見えるこの部屋の中は入り口からではよくわからない。
…ゴホゴホと咳き込む声がして足元に誰かが寝ていることに気付いた。
しゃがんで見ると、ボロボロの服を来た年配の女性が布団もかけずに藁のような敷物の上に横になっていた。

「いったいここは、なんなの…?」

部屋の中に思い切って足を踏み入れると、その惨状に唖然としてしまった。

「ひどい…!」

怪我をした人も老人も子供も、藁の上でボロボロの服を着て寝ている。
窓がないからわからないけれども、夜なのだろう。疲れきっているらしい人々はぴくりとも動かずに眠りについていた。
中にはうなされている人も居て、時々苦しげな声が聞こえてくる。部屋の中に、横になっていない人がいるのが見えた。

「ヘンリー…必ず僕たちはここを出る、あきらめちゃいない」

体育座りをしたその人は、ふと私のほうをみて、いきなり立ち上がった。

「フローラ…?!」
「あ…」

寝ている人を踏まないように、でも慌てて人が走ってくる。
近付くほど、このようなところに居るはずのない人であることがわかって、何事かと、両手を伸ばして彼の腕に飛び込んでしまった。

「リュカ…、リュカなの…?」

いつの間にか少し見上げなければいけないほどに大きくなって、声も少し低い。
だけれども、ろうそくが照らし出すその瞳は昔と変わらない、引き込まれるような不思議な瞳で、汚れた顔や赤くはれた頬であってもしっかりとリュカであることを物語っていた。

「フローラ…!これは、これは…夢なんだね…」
「いったいどうなさったの…こんなところで、パパスおじさまは?サンチョさんは?プックルちゃんは?」
「父さんは死んだ…っ」
「…!」

強い力で抱きしめられるのを感じた。怒りに震える声が耳元で囁いた。

「ゲマって魔物が、父さんを…っ」

あのたくましくて立派なパパスが…記憶の中でも鮮やかによみがえるパパスが、この世にいないだなんて、考えもしなかった。
リュカも自分と同じように平和な日常を送っているのだと思っていた。

「リュカ…」

私はリュカの頬に口付けた。
驚きでぽかんとしているリュカの額に額をこつんとぶつけた。好きな人が辛くて悲しんでる時はこうするものだって本に書いてあったから。

「辛くなかったら、話して…」

リュカは私を抱きしめたまま、ひとつひとつ話し始めた。
ラインハットで父がヘンリー王子の護衛を引き受けたこと、自分はヘンリー王子の遊び相手だったこと。
それからまもなくヘンリー王子が誘拐され、誘拐先で自分たちを逃がすためにゲマに殺されたこと…

「絶対、ここを出て…、母さんを探すんだ…!父さんの仇を討つんだ…」
「ああ…なんて言ったらいいかわからない、私に何かできることがあったらいいのに…」
「覚えてる、もう何年前だったか、君が僕の夢に出てきてくれたこと。
今日もそうなのかな?君がここにいるはずないものね…」

名残惜しげに腕を離そうとするリュカを引き止めた。

「朝が来て、夢が終わるまで…」
「一緒に居てくれるの?」
「居てもいいの?」
「居て欲しい…」

再びリュカに抱きしめられながら、今度はヘンリー王子の話を沢山聞いた…

妖精の鏡5

目を開くと、目の前にはこじんまりとした教会があった。
村に居るのはわかるのだけれども、火が灯されていても看板の文字はぼやけていて良く読めない。さっき寝たばかりだから夢なのだろうか。
星空と月の明かりを頼りに道のような道を歩いていくと、一軒の家の前に誰かが立っているのが見えた。
ターバンこそしていないけれど、黒い髪の少年だった。リュカだろうか、と私が近付くと彼はぱっと振り返った。

「…フローラ?」
「リュカ!」

リュカが近付いてくると無性に嬉しくなって、何を言えばいいのかわからなくなってしまった。

「これは夢なのかな…」
「そうかもしれないわ、だって私こんなところ来たことない」
「そっか、ここね、ぼくの家なの」

家の窓にはカーテンが見えて中の様子はよくわからないが、リュカが少し開けたドアからは一階にぼんやりとした電気がついているのが見えた。
リュカはドアを閉めて私の手を取った。

「夜だからあれだけど、ちょっとぼくの村歩こ!」
「え、何も見えないのに」
「大丈夫いつも歩いてるから。それに夜の村なんて歩いたことないから歩いてみたいんだ」

リュカに手を引かれて暗がりを歩いていく。

「リュカは家でお父さんと二人?」
「ううん、サンチョっていうおじさんも一緒に住んでるんだ。サンチョの料理は本当においしいんだよ、どんな料理だって作れちゃうし。
あとね、ぼく猫を飼ってるんだ」

どんどん話していくリュカは昔船で見た静かさとは正反対だった。これは夢幻なのか、それともあの時は初めて会ったからだったのか。
とにかく楽しそうに話すリュカを見て安心した。

「プックルっていってね、これくらいの猫なの」
「大きい猫さんね!」
「大猫なんだよ。ちょっと虎に近いのかもね。でもいい子で、ぼくと一緒に居てくれるんだ。ぼくの友達」

宿屋の前の灯篭の明かりの下に座り込んでリュカの話を聞いた。
あれからサンタローズ着いたこと、洞窟を冒険したこと、レヌール城にお化け退治に行ったこと。妖精の村に春をもたらす手伝いをしたこと。
話をしていくうちに自分もすっかりリュカと一緒に冒険している気がして、嬉しくなってしまった。

「リュカったら、ほんとに冒険が好きなのね。お話もうまくて…いまの冒険を本にしたらみんなが読みたがるわ」
「本って、ぼく文字読めないし書けないんだけどね」
「あらそうなの?わたしも少ししか書けないんだけれど…」

リュカの意外な欠点を知って驚きつつも、自分にも手伝えることがあるんじゃないかと思った。

「そうだわ、いまのお話、きっと後でわたしが紙に書いて本にするわ」
「じゃあぼくはもっと冒険する!フローラが書き切れないくらいに」
「うふふ、楽しみね」

と、その時、宿屋の扉が開いた。
男が三人ほど話をしながら出てきたが、宿屋の目の前にいるのに自分たちには気付かないようだった。

「やっぱり夢なのかも」

リュカは自分の頬をぐにゃとつまんだ。

「フローラ、また会えるよね」
「こんな風に会えたんだもの、きっとまた会えるわ」
「父さんと明日ラインハットのお城に行くことになってるんだ」

ラインハット、その名前は聞いたことがあった。
父は言った、この世界に存在する城はラインハットとテルパドールとグランバニアだと。
グランバニアは山奥にあって父は行ったことがないらしいけれど、残りの二つには父の知り合いが沢山居るんだと言っていた。

「どうして?」
「わからないけど…」
「きっとまた冒険が待ってるのね」

不安そうなリュカは、私の言葉を聞いて、そうだねと笑った。

「色んなところを冒険して…いつかフローラの住んでる町にも行くよ」
「うん、待ってる」

ふと、周りが白くなってきた。あれと思っている間に目の前は真っ白になって、真っ暗になった。

「フローラ、朝ですよ」

お母さまの声で目を覚ますと、そこはなんの変わりもないサラボナの家だった。枕の隣を見たけれども黄色い花びらはなくて、全部夢だったんだと思った。
ベッドから降りて鏡を覗き込もうとすると、鏡の端っこに黄色い花びらが張り付いているのを見つけた。これを取ったらいけない気がする。
そう思って誰にもとられないように、黄色い花びらを隠すように鏡台の上にぬいぐるみを置いた。

これから毎晩あの夢が見られるのかな、そう期待していたけれど、世界に広がる黒い闇はゆっくりと動き出していて、私とリュカの夢が繋がることは長い間なかった。

妖精の鏡4

私は船から身を乗り出して、親子がビスタの港に降りて歩いていく後姿を見つめていた。
船が動き出して、父が私を降ろそうとしても、二人の姿を見ていたかった。
ふと、リュカが振り返った。黒い目が私を見て、手を大きく振る。

「フローラ!またね!」
「リュカー…!」

手を振って…小さく小さく見えなくなるまで手を振り続けた。
やがて海と山しか見えなくなって、手を振ることをやめると、父が不思議そうに私を覗き込んだ。

「フローラや、どうかしたのかい。あの子が気になるのかね」
「お父さま、リュカってとっても面白い子なのよ。もっとお話したかった…」
「そうかそうか」

父は私の手を握った。

「きっとまたいつか会える。サンタローズに家があるそうだから、期を見てまた手紙を書こう」
「はい、お父さま」

また会える、そう楽しみにして、彼と話したことを思い出しながら一人、部屋で椅子に座ってぼんやりと窓の外を見ていた。

「空の髪に、海の目…」

リュカが例えた私の見た目のことだ。
だけど、自分の色よりリュカの目の色のほうが素敵だと思う。
黒なのに黒じゃない、沢山の色と光が集まって黒に見えるような、そんなきらめきのある色。

「また会いたいな…」

空は雲ひとつなく、太陽の光で海もきらきらとしていた。
私の目の色、リュカと会える場所。そう考えたら海のことが少し好きになった…



「…なんてロマンチック!6歳児がそんな口説き文句言うなんて、お姉さん涙が出ちゃう!」

ポピーがハンカチを取り出して目元を押さえた。

(そんなに…泣くほどのことなのかしら)

「その子、いつ会えるかわからないんでしょ?」
「うん」
「フローラちゃんは会いたいんでしょ?」
「会えるなら会いたいけど…」
「よし、お姉さんに任せなさい」

どこからか袋を取り出したポピーは、伸びをしてから勢い良く飛び上がって近くにあった鏡に粉を振りかけた。
きらきらと輝く粉はゆっくりと鏡に吸い込まれていく。

「なにしたの?」
「お楽しみ♪いい夢みてねフローラちゃん」

ばいばいと手を振って去ったポピーだが、花びらを置き忘れていったようだった。
枕元に残された黄色い一枚の花びらが、妖精がそこにいたことの唯一の証拠になった。

「おやすみポピー…」

窓を閉めて、粉が降りかかった鏡の方を向いて、私は布団を被った。

× CLOSE

What's New

メニューはBlog上部にあります。
★ Readme>当サイトについて をご一読の上、自己責任でご閲覧ください★

HIT >>次480000

最終更新: 移転しました。(07/30)

管理人:古川晃
 

拍手・コメントなどお気軽にどうぞ

アンケート

Quickvoter

Q.第2回更新してほしいジャンル投票

主ミレ(DQ6)
主フロ(DQ5)
DQ9
海闇(遊戯王)
マテリアルパズル
その他
※作品傾向:エロ

ブログ内検索

management

アクセス解析

× CLOSE

Copyright © 天球ギャラリー : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]