いつだって驚くほど美しい。
最初にサンマリーノで会ったとき、はっと心を奪われたことを思い出しては、あのときの彼女の表情が焼きついてはなれなくて、ぼけっとしてしまう。
ミステリアスな雰囲気でひどく魅惑的な瞳で、魔法漂わせて変に演出してくれちゃってたから今でも忘れられない。
まあ忘れる必要もないんだけど。
自分の中では最初に会ったのはサンマリーノになっているけれど、本当は違う。
ハッサンがレイドック城に忍び込んできたように、ミレーユもまた、グランマーズに導かれてレイドックにやってきて出会った。
ただ、ゼニス王の贈り物であった夢の自分の時間が長くて、昔のことはあまりしっくりこないので、ミレーユが人間不信だけど使命感に燃えた冷たい炎を抱えて名乗ったあの時のことはあまり思い出したくない。
「なにしてるの?」
「っ、ミレーユ」
いきなり顔を覗き込まれて驚いた、今まさに考えていたひとがその美しい顔を視界に割り込ませるから心臓がばくばくいってる。
「買い物終わったわよ、馬車に戻りましょ」
「あ、ああ」
ミレーユの華奢な指が、腕をちょっと引いて去っていく。
その指が惜しくて、とっさに手を伸ばす。
金色の波がふわっと振り返って、花のようないい香りがした。
「あら、なに?買い忘れでもある?」
「あ、いや、なんでも」
恥ずかしくなってぱっと手を引き戻す。
いつになったら彼女にまともに触れられるだろう。
ああ、好きなんだ、その一言が言えない。
お題配布元:http://members2.jcom.home.ne.jp/seiku-hinata/index.html
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