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天球ギャラリー

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新世界のオルゴール8

「私は物心ついた頃にはグレイス城の近くの森でひっそりと暮らしておりました。
ある日、グレイス城を不気味な雲が包み込んだかと思ったら、大地が大きく揺れ、城から大きな爆発が起こったのです。
城の中から発せられた強烈な雷で城の人はみな死んでしまいました。
そして城を包み込んでいた雲がすごい速さでグレイス島全体に散っていき、島全体をボロボロにしていったのです」

「オルゴーの鎧のあれだ…!」
イザたちは顔を見合わせた。

「私も気を失ってしまい、目が覚めたときには森の木は折れていたし、近くには毒の沼が広がっていました。
そしてグレイス島にはそれ以来凶暴なモンスターが増えてしまい、私も何度危険な目にあったかわかりません。
もうこの島を出ようと私は決心し、東へ東へと飛んでいきました。
けれど、どこもモンスターが増えていました。
かといってこの姿では人の住む街では暮らせません。
人の住む街をひとつ越え、大きな崖を越えたころ、広くて美しい草原の中にひとつほこらが建っているのが見えて、そこで休ませてもらおうとほこらの中で寝たのです。」

女性は目を閉じた。
「驚いたことに、目を覚ますとこの城の庭で寝ていたのです。
私はそれ以来この城にお世話になっているのです」

「寝ている間に夢の世界に来てしまった?
確かにあの四つの武具のほこらは境界が薄いところでもある」
「そんな私に優しく色々と教えてくれたのがフランなのです。
フランもこの城では異常な存在ですから」

女性が魔人を振り返る。その視線は温かかった。

「私は、昔は一介のモンスターとして私よりも上級の魔族の命令を実行するという生活をしていた。
しかし、ある日ダーマ神殿から来たという魔物使いに会い、彼の話を聞くうちに世界を見てみたくなってついていったのだ。
彼自身はそう強くなかったが、彼は非常に広い心を持っていた。
魔物であろうといいやつはいるんだと彼はいつも言っていた…。
彼は老い、出身国に帰ると言って私と別れた。
彼の名はセバス、少年の心を持った青年だった」

「セバス…!?」

魔人は続けた。

「その後、ダーマ神殿という場所を探して世界を旅した。
私も彼のように役に立つ職業に就こうと。
しかし、見つけることが出来たのはもはや荒廃した神殿の跡だけ。
ある日、セバスと旅をした中でも海の上に険しい山に囲まれた島があったことを思い出した。
その島の外からでも、島の中にあるらしい高い塔が見えていた。
不思議とそこへ行ってみたくなり、色々な手を尽くしたがあの山を越える事はできなかった。
それでも崖のような山を登っていたが、私はついに手を離してしまい、海に投げ出された。
遠のく意識の中、美しい女神が現れて話しかけてきた。
心清き者よ、まだ死んではなりませんと。
女神はルビスと名乗った。
彼女は私をここに連れてきて、魔族と人間の融和の道を後の世に残して欲しいと言ったのだ。
しばらくした後、リディアがやってきた。
私とリディアは人間ではないが人間に近い存在、そしてお互い神に命を救われた身。
神々がゼニス王の城に居る我々に目をつけるのも無理はない。
これほど好都合な駒はないだろうからな」

ハッサンが口を挟んだ。
「それがさっきゼニス王が言ってた、計画ってぇやつか…」

「そうだ。私はともかく、リディアは不安で不安でしょうがなかったようだ」
「当たり前のことです」
珍しく強い口調で女性が言う。
「神々は言いました。
生まれた子供が目覚めた魔性を少しでも持っていれば実験の価値があると」

「まった、まった、難しい。もうちょっと説明してください」
イザが手を挙げたので、女性ははっと我にかえった。

「私とフランに子供が出来れば、魔族と人間と有翼人の血を引いていることになります。
私やフランはその特異性から人の世界になじむことが出来なかったけれども、生まれた子が特異でありながらも最初から人の中で育てばどちらも理解できる者となり得るのではないかと神々は思ったのです」

「最初から人の中で育てばってことは」
バーバラがおそるおそる聞く。
「生まれた子供が特別なら取り上げられちゃうってこと?」

「そうです。
…ミレーユが生まれたとき、私はほっとしたのです。
ミレーユは本当に人間のようでした。
翼もなく、魔族らしくもなく。
持って生まれた魔法の才能はフランに似て人間の領域を出ていたかもしれませんが、このとき魔性は見えなかったのです。
数年間、私とフランとミレーユはこの部屋で幸せに暮らしていました。
その数年後、テリーが生まれたとき、神もフランもわかったようでした。
この子は身に魔性を宿していると」
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新世界のオルゴール7

イザ達はゼニス王に仕える一人の兵士に連れられて城の廊下を歩いていた。
兵士はどうぞと言って、ドアの横に立った。

「あなたがたが開けてください」

ここまで案内してきた割にドアは開けないのかと不思議に思いつつも、誰が開けるかと迷っていると
「俺が開ける」
テリーが名乗りを上げた。
「いいだろ」
「ああ」

ミレーユの手はイザの手をこれでもかというほどに握り締めていた。
額のサークレットが迷いを戒めているのだろうか、チカチカと光っている。

「ミレーユさん、迷う必要はありません。もっと堂々となさっていいはずです」
チャモロが静かにやさしく話しかけた。
「そうね…わかってるんだけど、できないものなの」
ミレーユは苦笑して髪を掻きあげた。



木のドアを開けると、正面には暖炉があった。
誰もいないかと思ったが、中の部屋は意外と広いらしく、一歩踏み出したテリーは息を呑んで思わず立ち止まった。

「よくぞここまでたどり着いた」
低いバリトンの声が響いた。
「うわっ、なんて美声」
と、バーバラは頬に手を当てたが、部屋を覗いて目を丸くした。
「我々に驚くのは仕方がないが、そこは狭い。早く入ってはくれないか」
「ああ…」



順番に部屋に入ったテリーたちは横一列に並んだまま、声の主とその向かいに座った者を見つめていた。
低く美しい声を発しているのは青い体に紫の髪と髭がもっさりと生えた魔人だった。
黄金の角が2本、頭から生えている。
下半身と爪は馬のようで尻尾もある。そして蝙蝠のような翼が生えていた。

「我が名はフランボワヤン、君たちは知らないかもしれないがヘルバトラーという種類の半獣魔人だ。
こちらは、リディア、有翼族と人間のハーフだ」

向かいに座った人物は、一見人間のように見えた。
色素は薄いが肌色の顔、瞳の色は片方ずつ違った。
空のような蒼と花びらの色のような紫の目だ。
金色の髪は静電気を帯びてふわふわと浮いている。
白い布を巻きつけるように身に着けた女性の背中からは白い大きな翼が生えていた。

「…真実を知らせなければいけないときがきてしまったのですね」

女性は悲しげに微笑んでいた。
その場の誰もが、その自嘲気味の悲しげな微笑みに見覚えがあった。

「あんたたちは」
テリーが感情を殺した声で静かにたずねる。
「俺たちの本当の親なのか?」
「そうです」
「なぜ俺たちの親がゼニス王の城に居るんだ!?
ねえさんがガンディーノの城に出されたときも、俺がデュランに取り込まれたときも、何もしなかったっていうのか!?」

抑えきれなくて熱くなるテリーを魔人がたしなめた。
「我々はいつも君たちを見ていた」

魔人が手をかざすと、机の上に水晶球が姿を現した。
魔人は水晶に両手をかざし、何かを唱える。
ミレーユはあっと驚いた声をあげる。
魔人が唱えた言葉はグランマーズが使っている魔法と同じだったのだ。
水晶にはガンディーノが映し出されていた。

「しかし、我々には何もすることは許されなかった。
それが神々との取引だったのだ」

イザがたずねる。
「それについてゼニス王はよく教えてくれなかったんですけど、つまるとこどういうことなんです。
神様たちもカルベローナの人たちも似てるけど、なんか考えて自分で理解しろみたいな感じじゃないか。
んでも俺にはさっぱりわからなくて困ってます」

イザの素直な言葉に、魔人と女性は緊張した顔を解した。
「すまなかった、難しい世界に居ると何かと遠まわしに伝えようとしてしまうもので」
「ほんとすいません」
「いや、いいんだ」

女性が立ち上がった。
「まず…私がこの城に来た頃の話をしましょう」

新世界のオルゴール6

「神様?!」

ひときわ大きく声を上げたのはチャモロだった。
「神様が卵からお生まれになるんですか?
しかも生まれながらにして神様なんですか?」

「神の大半はゲントの神や精霊神ルビスのように元は神でない存在であった者が召し上げられて神になったが、生まれ着いての神というのも居ないわけではないぞ」

「それで」
と、ハッサン。
「その卵の中身の神さんとどう関係があるんだ?」

「この世界以外にも世界というものはたくさんある。
夢の世界と現実世界のように表裏一体になった近い世界はちょっとした歪みで飛び越えることができるんじゃが、
そうでない遠い世界に行くためには特別な魔法か特別な翼が必要じゃ。
例えば精霊神ルビスは不死鳥に乗って世界を移動してきたと言っておった。
あの卵から生まれる者はおそらく特別な翼を持っておる。
この世界に生まれ、成長したらここではない世界に飛び立っていき、魔物と人間とがわかりあえる世界を目指すのじゃ。
しかし、世界を作るというのは…おぬしらには想像できないことじゃろうが、とても大変なことじゃ。
だから、少しばかり種を持っていく。
前の世界で成功した生き物の種を少しずつ持っていって、新しい世界に混ぜるのじゃ」

「え、それって地面に吸収されたりすんの?」
「違うわい、そこの世界で暮らすということじゃ」

「移民みたいなもんか…」
テリーが渋い顔でつぶやいた。
「まさか、俺と姉さんに移民しろっていうんじゃないだろうな」

「最初はそのつもりじゃった」
「ふざけんな!」
「最初は、じゃ!」

ゼニス王がいきりたったテリーにウィンクした。

「しかし、望まない者を無理やり連れて行くのは…それこそ神の勝手な事情じゃ。
デスタムーアの勝手な事情で世界が引き裂かれたのと同じじゃ。
だからわしはおぬしらには無理して来いとは言わぬ、が、
わしらではない神々はおぬしらを移民させると会議で決定してしまった。
変更するわけにはいかんのじゃ。
じゃが、誰も絶対今のおぬしらでなくてはならないとは言ってはおらん。
何年、何十年経っても構わん。
…おぬしらが行くのが嫌であれば、おぬしらの血を引くものでも構わんということじゃ」

それって、とバーバラが二人のほうを見る。
ゼニス王が朗らかに笑った。

「新しい世界はおぬしらの血脈を必要としておる。
別世界において笛でドラゴンを呼び寄せその背に乗ることができた者。
別世界において一時魔に染まりながらも導かれし仲間になった者。
おぬしらが来るか、それともおぬしらの子孫が代わりに立つか、それを決めるのはおぬしら自身じゃ」

「えっと…」
ハッサンが口を挟む。
「話がでかくなりすぎてついてけなくなってきたんだけどよ、つまりいつかは行かなきゃならねぇってことか」

「そうじゃ」
ゼニスは頷く。
「バーバラが卵を孵した後になるが、この娘もいますぐ卵に向き合う気は無いらしいのでな。
神々の世界では数十年くらいたいしたことではないのじゃ。
さすがに数百年経つといつの間にか新しい魔法が増えていたり、治めている世界の地形が変わってたりするんじゃが。
…さて、話はこれで終わりじゃ。
最後に世界中の雫を作っている部屋の隣の部屋に居る者に会っていくと良かろう」

「それは、まさか私たちの両親、ですか?」
ミレーユの声が震えている。

ゼニス王はゆっくりと頷いた。
「…そうじゃ」

新世界のオルゴール5

ゼニスの城は夢の世界になかった。正確に言うと、空に浮いていたのである。
ファルシオンが翼を広げて飛び、一同は城の正面階段に足を降ろした。

「みましたか、この城の下」
チャモロが言う。
ハッサンが答えた。
「みたみた、大地から引っこ抜いてきましたってー大根みたいな土付きだったぜ」
「ちょっと神秘性に欠けますね」
「あの部分ってなにかあるの?根とか」
と、バーバラ。

「俺の記憶ではあんな形の地下室は無かったと思うが…」
「あったのは井戸じゃありませんでした?」
「!」
「そうだった、はざまには城の井戸から行ったんだっけ!」

井戸の部分、つまり長い管のようなものをぶらさげたままこの城は動いているのだろうか。

「それよりは土でいいかも…」
「ですね…」
「だな…」
「低いところ通過したらひっかかっちゃうかもしれません」
「折れるかも、ばきっと」
「夢の城だからすり抜けちゃうかもしれないぜ」

三人の話し声は聞こえないらしい、テリーとミレーユは神妙な顔で一歩も動かずに立っていた。
二人の背を押してイザは言った。
「まずゼニス王に話を聞こう」


ミレーユの顔がいっそう白いのを見て、イザは肩に手を添えた。
「顔色悪いよ」
「それは…だって、自分の親が人じゃないなんて思ったら」

ミレーユが遠い目をして眉間に皺を寄せたので、バーバラが言った。
「人じゃないからって例えばテンツクとかリップスとかそういうのばっかりじゃないでしょー。
あたしだって人から生まれてないし。
石像から生まれてるんだからさぁ。大丈夫大丈夫!」
バーバラは続ける。
「まぁあたしの場合イヤな意味じゃないし、説得力にかけるかもだけど。
石像よりはよくない?喋ってくれるよ」
「バーバラ…」

バーバラはカルベローナの町の人に育てられたのだ。
もちろん親代わりが居たから、誰が本当の親などとは考えたことはなかっただろうけれども。

「そうよね、不安がってても仕方ないわ」
ミレーユは肩をすくめて苦笑した。


王座の間に着き、ゼニス王に事情を説明すると、王は首をかしげた。

「確かにそれは事実じゃ、しかしその話はこの二ついや三つあった世界のトップシークレットじゃ。
誰だか知らんがそんな風に二人に回すとは…二人にはおいおい言おうと思っていたところなのじゃ」

「…どういうことです」
ミレーユは青白い顔で問いかけた。

「バーバラが孵すことになっている卵をみたかの」
はい、とイザ。
「あの卵には希望が入ってるとかかなりぼかしたことを言われたんでサッパリでした」
「はっはっは、そりゃそうじゃ。
何が生まれるのやらわしにもわからんのじゃ!」

ゼニス王は盛大に笑って、急に真面目な顔になった。
「ここだけの話じゃ。現実世界や夢の世界で口外してはならんぞ。
誰が聞いているかわからんのじゃ。
いいか、ただひとつわかることは、あの中から生まれてくるのは…
か、み、さ、ま、だということだけじゃ」

新世界のオルゴール4

白い壮麗な城は明るく、海底にあるとは思えぬ光に満ちていた。
銀色の長い階段を上ると、蓮の咲いた王座から声がかかった。

「イズュラーヒンとその仲間たちよ、あなたがたが来ることはわかっていました」
「ルビス様」

紅蓮とも桜とも見える紅いやわらかな長い髪が、水の反射するきらめきで気のせいか一瞬青色に見えた。
翡翠色の柔和な瞳がゆっくりとまばたきをする。
純白のローブを纏った女神は、一同が全員階段を上りきると、わかっているにも関わらずあえてたずねた。

「今日はどうしましたか」
「…わかっているのに聞くんですね」
イザは苦笑した。
ルビスは困ったように微笑んだ。
「わかっていても、先に言ってしまっては、歴史が変わってしまいます」
「ああ、そうでした」

「ルビス様」
ミレーユが口を開く。
「昨日、わたしとテリーの所に、銀色の髪で耳の尖った男が現れて、わたしたちは人でないと…わたしたちは神々につくられたのだとか、実験台なのだとか…。
本当の親を知らないくせにとか言ってきました。
オカリナを作ってくださったルビス様なら、わたしたちの本当の親を知っているのではないかと思って」

「…」
ルビスは目を閉じた。
数秒後、ルビスはためらいがちに口を開いた。

「話すときが来てしまったようですね。夢の城にある卵と、新たな世界の話を.

昔、ムーという国がありました。人間の王国です。
この国は神々からさずかった魔法の玉を使って強力な武器を作り、世界中を我が物にしようとしていました。
神々との約束で、人と戦うための武器は作ってはならないとあったはずなのですが、彼らは欲に負けて破滅の道を選んでしまいました。
人だけでなく、人が増えるにしたがって、エルフやドワーフのような別の種族は追いやられて数を減らしていきました。

神々はムーを滅ぼすことに決めましたが、魔法の玉を使わずに神々のための武器を作ることを条件に清い心を持った者は救うことにしました。
人間の鍛冶職人は自分の力では硬すぎる金属を強化できません。
そこでドワーフの力を借りました。
今度は火の温度が上がらなくて金属が溶けません。
そこでエルフの力を借りました。
人間とドワーフとエルフは協力して神との約束を守ることができました。
彼らは共に生きることができると証明したのです。

そして選ばれた人間たちは別の世界へと運ばれ、新たな地で生活を始めます。
今度は、人とモンスターの戦いが始まります。
魔王が倒れても、生き残った配下がまた復讐を繰り返す。
モンスターと人は共存できないのでしょうか」

ルビスは一息ついた。
「イザ、あなたならわかるはずです。この答えが」
魔物使いであったあなたなら、と添えた。

「俺は、モンスターの中にもいいやつはいると思っています。
人間の中にも最低なやつはいます。
それと同じ…モンスターとは言葉は通じないけど、心を通わせることができると思います」

「テリーはどうですか」
一瞬躊躇ったがテリーははっきりと述べた。
「デュランのように、魔であってもしっかりしたやつはいた。
あいつは魔物だったが、葛藤していたし、純粋な思いを背負っていた。
魔物の中にも権力争いがあった。魔物の中で強さを表す一つの指標が、人にいかに残酷になれるか、強くいられるかだった…」

「そうです」
ルビスはやんわりと微笑んだ。
「魔物も人も、本当は共存できるはずです。
人同士のように。
バーバラが孵す卵にはその役割を背負った者が眠っています。
新たな世界を作って、人と魔物が共存できる世界に育てるために」

「夢の世界では、スライムがチャンピオン目指して戦う闘技場があったね」
バーバラが言った。
「あたしはそういう世界見てみたいな、人と魔物が楽しく一緒にお酒が飲める世界が」

「…テリー、ミレーユ、あなたたちの親は夢の城にいます」

ルビスは立ち上がって、二人の手をとった。

「不安になることもありましょう。
しかし、あなたがたが歩んできた道より、それは不安なことではありません。
あなたがたにはかけがえの無いものがあります。
孤独に背負う必要はないのです」
あと、とルビスは言う。

「いやなことは、はっきりと、いやですと言うのですよ」
笑顔がとろけるように優しかった。


(つづく)

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