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女神の祈り

神の国――青い空に浮かぶ島々と虹色の橋、純白の宮殿――には今、私しか住んでいません。父は私と喧嘩した後どこかへ、妹は自由気ままに人間界を飛び回っています。
私の名前はセレシア、創造神グランゼニスの娘であり女神です。人は私を「母なる世界樹」とも呼びます。なぜ私が世界樹と呼ばれるのか、少しお話しましょうか。

父は人間を作ったことを後悔していました。人間の欲の深さに不信を抱いたのです。感謝の気持ちを忘れる連中だ、たやすく同志を裏切る連中だと。父は言いました、「人間を滅ぼす」と。
私はこう父に反対しました。「人の一生は短く、私たち神々よりも感情の起伏が激しく、自らが生きることで精一杯だから他人を裏切ってしまうこともあります。けれども、感謝の気持ちを忘れてしまったかどうかは話が別です。感謝を忘れるなんて、決してそのようなことはないと私は信じています。それほどおっしゃるなら人間を試してご覧に入れましょう」
そして私は自らを樹の姿に変えました。人の感謝の気持ちが集まれば果実を成らせ、神の国に居る父が気付けるように…。

父は私にそこまでさせてしまったことを深く反省していました。まず天使を作り、私の世話をし、人間の感謝の気持ちを集めるように指示しました。しかしそれでも父の気がおさまることはありませんでした。父はまた後悔して、今度は自分の感情を憎み、自分を封印してしまおうと思い立ったのです…。
このようなことを父がしてしまうとは私も思わなくて…、神の国には神が不在になってしまいました。その間に天使エルギオスがガナン帝国に捕まったり、ガナン帝国が闇の竜バルボロスを復活させたり、さらに帝国は世界どころか天使や神の国をも滅ぼそうと企みだしたのです。

私は天使ナインの協力で元の姿を取り戻し、改めて女神として天使に指示を下します。「闇に染まったエルギオスを止め、世界を救ってください」。
…そして私は、エルギオスを止めたナインに、今度は地下に巣食う邪悪な権化を倒して悪の元凶を調査するように依頼しました。

そもそも世界の不調和は私たち父娘の喧嘩から始まったこと。神同士の言い争いというのは規模が大きくてごめんなさいね。父が戻ってくるまで、もう少しの辛抱なのです。
ナインが父を連れ戻してきたら、アギロも、サンディも、私も、やっと元に戻って安心できるというものです―――

…いま私のことを、人遣いが荒い女神だとお思いになったでしょう?でも私もナインの気持ちはわかっているつもりです。え、わかっているのにやらせているですって?…うふふ。
あら、話が長くなってしまいましたね。おやすみなさい、人であるあなたも大切な私のきょうだいのひとりなのです。

(終)
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