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天球ギャラリー

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金色の願い

※物語終了後のネタバレを含みます。
※男主人公→イザヤール のBLになります。
※寂しいのでありえないハッピーエンドにしてみた。

不評は受け付けませんwwwwww


***


「ねぇ、何で最近この辺をウロウロしてるワケ?」

サンディに話しかけられ、海に向けていた視線を船内に戻した。

「…ぬしさまがまた果実拾ってないかなって」
「そんな都合よく落ちてるわけねーだろ」
「そうよ、もしまた変なやつが拾ったら大惨事よ~」

仲間にもつっこまれてため息をつく。
まさかの女神の果実を食べて、アギロやサンディが見えるようになったことには驚いた。ならば、もう一度果実が手に入れば、叶えられるのではないかと思ったのだ。

(あの時、なんで僕は特に何も考えずに食べたんだろ…)

金色の果実を口にした時、ただ思っていたことは、今寂しい、また賑やかな旅に戻りたいという想いだけだった。

「果実をもうひとつ見つけられれば…イザヤール様を生き返らせるのに」

その小さな呟きを聞き届けた者はおらず、声はさざなみの音にかき消された。

船を進めても果実が落ちているわけがない。
そう分かっていても、一度は落ちていたという事実にまたすがってしまいたくなる。自分はこんなに弱かっただろうか。人間になったからなのだろうか。これが欲というものなのだろうか。
今日何度目かわからないため息をついて、同じく今日何度目かわからない海賊ウーパーを倒してその場に座り込んだ。

(仲間を置いてきて正解だった)

巻き込んでは悪いと思って三人はリッカの宿屋においてきたし、サンディはアギロに預かってもらったから今日は単独行動だ。

「…星になるってどういう気持ちなんだろ」

ふと目から涙が流れた。

「もし僕が、イザヤール様より先に星になっていたら…どう思うだろ」

キメラが視界の隅でバタバタしているのが見えた。

(もし死んでいたのが僕だったら、イザヤール様は探してくれただろうか)

問いには誰も答えてはくれない。だけれども、変な確信はあった。

「…そうだよね、きっと探してくれてた。エルギオスを数百年も探し続けていたような人だから。僕も、探してる。探しても探しても居ないってわかってるけど」

探さずには居られないんだ、唇を噛んで言葉を飲み込んだ。



プライベートビーチからルーラで移動して、いろんな町を回ってみた。
羽根を失くして飛べなくなって、ルーラを使うことを覚えたけれど、羽根があったときのような自由さはない。それどころか天使をやめてからは、悩みが尽きない。苦しくて、早く楽になりたかった。

「夜か…」

仲間が心配してるだろう。
ふと、歩きたくなってウォルロ村から峠を越えて宿屋に戻ろうと思った。見上げた空は深い藍色で、沢山の星がきらきらと輝いていた。

「みんなは、星になったのかな」

手を伸ばしても届くはずはないけれど、この願いが聞き届けられないかなとひたすら手を伸ばす。
…ただ、上を見上げていると首が痛くなりそうで、石につまづきかけたのをきっかけに空を見るのはやめにした。

「果実にお願いすればよかった。イザヤール様が戻ってくればいいのにって」

むげんの弓を構えて、星が沢山見える方向に向かって射てみようと思った。打ち落とせたら、願いが叶わないかな、そんなありえないことを夢見て、矢を放ち、目を閉じた。

ぱしっ、小気味良い音が響いて矢が打ち落とされた。

コロンと転がる小石を見ることコンマ数秒、正確で力強く威圧的なその行動に驚いて、ナインは弓を構えたまま振り返った。しかし目の前に立つ人物に唖然として言葉に詰まった。

「イザヤー…」
「なんのつもりで矢など射てるのだ、誰かに刺さったらどうする」
「…」

羽根は生えていない。天使の輪もついていない。腰に重そうな剣を下げて、両手を組んで呆れたように小言を並べ立てるところは変わっていなかった。

「イザヤール様…!」

幻でも構わない、飛びついて、いまだけでもそのぬくもりを感じることが出来たら…。

「お前は大きな子供か、大人気ない」

抱きしめた体はがっしりと筋肉質で、幽霊のように通り抜けたりはしない。言葉はきついけれども声色は優しく、ナインの頭を撫でる手は角ばっていて力強かった。

「…色々迷惑をかけてすまなかった」
「ほ…ほんとですよ、皇帝も、エルギオスも全部僕に任せていっちゃうんですから…!師匠の師匠だからって、憎くてたまらなかった」
「すまなかった」

目を閉じると、頬を涙が伝った。泣いたのは初めてかもしれない。
イザヤール様が消えたときも怒りの衝動のほうが大きくて涙が出なかったから、今やっと流すことを思い出したのかもしれない。

エルギオスと戦っていた時も、どんな時も、凹んで何も出来ない自分をイザヤール様が見たらどう思うだろう、そればかり気にしていた。見たって叱咤するような空気の読めない人じゃないのに、こう会ってみればそうわかるのに、あのときの自分は辛いことを紛らわすように別のことに打ち込んでいようとしていた。

「これからは一緒に侵入者を探そう」
「…はい」

宿に戻るまではせめて、このぬくもりの中で甘えていたい…




しまりのないEND!!




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なんかすごいよアギロさん!

※物語終了後のネタバレを含みます。
なお、ここに記されている内容は適当に考えただけなので公式設定ではありません!あしからず!そしてオチはなし。よくわからん。



***



キュッキュッという音が箱舟の中に響いていた。ナインと仲間たちは音の聞こえる客席車両の方を見遣る。

「働き者だなあ…」

ぼーっと見ていると、重そうにバケツを持ったサンディから怒声が飛んできた。

「ちょっとアンタ達!何見てんのヨ!」

さすがに手伝いなさいよとは言わないようだ。

「もぉ、テンチョーマメに働き過ぎだしィ…」

ヨロヨロと客席車両に飛んでいくサンディを、アギロのよく通る声が急かした。

「サンディ!バケツまだか!」
「今行きます、今ーっ…」

金色に輝く客席車両を真っ白な雑巾で拭いているアギロは、普段の締まった顔つきではなくどこか穏やかで優しげだ。

「乗る人も居ないのに、どーして毎日掃除しなきゃイケナイワケ?」

彼は不満そうなサンディに言った。

「お前はこの箱舟の価値をわかってないな」
「当ッたり前ジャン!」

どこか遠くを見るように上を向いて彼は言う。

「箱舟は天使を運ぶために生まれた。本来はもう存在が無くなっていてもおかしくない物なんだ。それがこうして存在している、その理由を考えたことはないか?」

「ええーっ…、ナインが使ってるからじゃナイ?…あ、ダジャレじゃないからネ?!不可抗力ってやつだからっ!」
「さすがにまだ小娘にはわからんか…」
「ふん、テンチョーみたいに年季はいってナイし」

アギロは腕を組んだ。

「神の国という癖にあんなに広くてセレシア様しか居ないだろう?
最初は俺も、天使界で役目を果たした天使たちを神の国に連れて行って住まわせるんだと思ってたんだが…結果は見ての通りだ」

「女神サマは天使たちを全員星にしちゃったしねぇ」

「当面、ナインと俺たちの仕事はセレシア様のお父上、グランゼニス様を探すことだが、それにしても二人であの国に住むには狭くないか?
それに、天使たちが星になることは、天使たちも望んだことなのか?
神様が人を試すために作った天使だけど、天使は天使で一人一人個性があって人間と変わらないはずなのに」

「…で、だからどういう…?遠まわしでわかんなくなってきたんですケド…」
「神の国の新しい住人たちを選んで運ぶためにこの車両は存在してるんじゃないかって思うわけだよ」
「テンチョー考えすぎじゃ?」
「やっぱそう言うか」
「そんな高尚なコト、あたしたちが考えもしませんって」
「ナイン、おまえはどう思う?」

いきなり話題を振られて、ナインは慌てて立ち上がった。しびれた足がもつれる。

「神に救われる思想が強い長老様がたのことだから。大半の天使はそれで満足してるとは思うよ」
「じゃあ満足しない天使は?」
「…僕とかイザヤール様とかエルギオスみたいな、下界をよく知る天使は満足しないかな。
人を救うことが天使の仕事だから救うんじゃなく、困ってる人がいるから救いたいと思う、だから何らかのことをしたいと思う、そういう天使だったら、いつまでも人の中で人を救いたいと思う」

サンディが頭を抱えた。

「アンタって、本当に根っからのお人よしね」
「妖精は根が仁では出来てないんだね」
「うるさいわねっ、妖精ってのは基本お気楽主義なのヨ!」

アギロが笑った。

「人の中にもそれに近い人は居るかもしれない。もしくはもう死んでいる人かもしれない。世界に必要なことならセレシア様も良しとすると思うが、セレシア様自身だってお寂しいとは思うんだ。話せる相手が実のところナインくらいしかいないしな」

「セレシア様は、輪に加わるより見てるほうがスキなタイプなんじゃない?」
「それはありえるが…」
「テンチョーのおせっかいだと思うケド」
「おせっかいでも構わん!とにかく!もし次エルギオスのような存在が生まれたら次は誰が世界を助けるんだ!天使界もないのに!それが二つ目の理由だ!」

半ばアギロの自論に流されながら二人は口を開いた。

「確かに…」
「そこは説得力あるわネ…最初からそう言えばいいのに」
「あぁ?何か言ったか?!冷血妖精とは違って俺は情に厚い男なんだよ」
「アタシ冷血じゃないしっ!!」

アギロは雑巾をサンディに突きつけた。

「冷血じゃないってんならこの車両は今日からお前が掃除をしろ。もう一両は俺が掃除をするから」
「なんでそうなるワケ?!」
「お前もいつかは小娘じゃなく妖精様になる。選ばれし人をこの車両に乗せることになるだろう。そのときに胸を張っていられるように今から掃除しておけ」

言葉を詰まらせたサンディが渋々雑巾を受け取った。

「それ以前にアタシがセレシア様の友達になればいいジャン…?」
「お前はまた!そうやって無礼ばっかりだ!」
「はいはい掃除しますぅ…」

ナインは窓の外を見た。
雨の島が見える。そこに生えた大きな木が光を浴びてきらきらと輝いていた。


end.

お師匠サマが教えなかったこと 男主人公ver

見習い天使にくっついて記録をつけてるんだけどぉ…流石にちょっとこれは注意したほうがいいと思うから言っちゃいますヨ?

「ナイン…それ左右逆ナンダケド…?」

きょとんと、幼げな顔をした少年がこっちを向いた。

「この三つまたのほうが左手なの?」
「三又ってアンタ…!フォークって言うのヨ!」

はぁーと盛大にため息をついた。ナイフを興味津々に見ている戦闘バカ(戦いと正義と平和に関してはピカイチ…むしろそれしか才がないのカモ…)が何かぼやいているからそっと近づいて耳を澄ませてみると…

「これは武器になりそう。切るにしてはちょっと小さすぎるし軽すぎるなぁ。サンディ、これって投げて使えるの?」
「そっちはナイフですからァアアア!食べ物を切るための道具デショー?!」
「だって僕こんなの使ったことなくて」
「今までどんな食事をどーやってしてきたのよ…」

どうやってって…、とナインはさも当たり前かのように笑った。

「普段はパンくらいしか食べないから手だったし、野宿だったら狩ったり食べたりは剣で全部足りるよ」
「アンタの食器は剣かっ!…アンタのお師匠サマは食器の使い方も教えてくれなかったワケ?」
「いやだから、剣で何でもできるようにって…そしたら困らないって言ってたのはイザヤール様なんだけど」
「人間と同じ食事もできないなんてどういうコト!そんな世間知らずな天使が人間救えるわけなぁぁぁいっ!」

ナインは、それに、とちょっと斜め下を見ながら言いにくそうに呟いた。

「イザヤール様は、実用性が第一って。あらゆるものを食べて耐性をつけないと毒を盛られるかも知れんぞ!って脅されたけどバブルスライムを食べるのは多めに見てもらったくらい…」

箱舟の中で出会ったツルピカの天使を思い出してみた。アレとナインが野宿をしながらモンスターを食べてる所を想像してぞっとした…。

「わかった、わかったわよ…!せめて、せめて人間が食べて平気なモノを食べなさいっ」

世界を救うかもしれない天使がモンスター食べてて、ナイフとフォークも使えなくていいんでしょーか…。テンチョー、アタシは不安デス…



おしまい。

お師匠サマが教えなかったこと 女主人公ver

見習い天使にくっついて記録をつけてるんだけどぉ…流石にちょっとこれは注意したほうがいいと思うから言っちゃいますヨ?

「ナイン…服買いすぎじゃーん…?」

くるっと振り返って、桜色の髪を揺らして少女が笑った。

「だってー!スライムの服だってっ」

センスのいい服とかそういうのは置いといて(アタシ的には珍品の世界)、どうやらあの子はモンスターが好きっぽい。特にスライムがお気にで…今、上下をスライムセットで揃えられてご満悦なよーデス。

「そのセンスは…アリエナイと思うんだケド、アタシ的に」
「サンディみたいにきらきらしてるのイヤなんだもん」
「キラキラがイヤとかっ、信じられないんデスケド!!」

こういうのが平和ってコトかなぁ?てゆーか、どっから見てもスライムタワーのコスプレにしか見えないワ…

「アンタのお師匠サマは、お金の使い方と服のセンスは教えてくれなかったワケ?」
「お金なんて地上降りて初めて使ったよ?」
「…イヤイヤ、天使界にだってお金くらいは」
「必要な時はイザヤール様に伺いに行ってたから、財布なんて持ったことなくて」
「剣は握ったコトあって、財布がナイってどーゆうことよっ。そんな世間知らずな天使が人間救えるわけなぁぁぁいっ!」

ナインは、それに、とちょっと斜め下を見ながら言いにくそうに呟いた。

「イザヤール様は、実用性が第一って。髪の毛一本とられるだけで呪われるかも知れんぞ!って脅されたけど髪を剃るのは多めに見てもらったくらいよ…」

箱舟の中で出会ったツルピカの天使を思い出してみた。それからナインの髪の毛がなくなったところを想像してぶるっと震えた…。

「わかった、わかったわよ…!せめて、せめて店員さんに組み合わせ決めてもらいなさいっ」

世界を救うかもしれない天使が金銭感覚ゼロで、服装センスもなくていいんでしょーか…。テンチョー、アタシは不安デス…


おしまい。

天使界に戻った日の座談会

世界樹のふもとで祈りながら眠りについたリーダーを横目に、三人は座り込んで丸くなった。どうやらこの世界にはなにかがあるらしいが自分たちには誰も見えないし、さっきから誰と会話をしているのやらこちらにはさっぱりだ、そういう顔で三人はため息をついた。

「なんかでかい事に関わっちゃったみてーだな」

金髪の調子よさそうな戦士があくびをした。

「ネレイズはのん気でいいわね。ナインは軽い気持ちでいたけど、あたしの言うとおり出発する前に長旅用の用意してきて良かったじゃない。食べ物もなく空の上、なんてことになるとこだったわ」

ネレイズの伸びたわき腹を槍の尻で小突いて、年増の女僧侶がぼやいた。手袋をはずし、革の袋の口を緩める。中から乾燥した肉を取り出して二人に手渡した。

「でも、レオノーラ、わたしこんなきれいなとこ見たことない」

さばきの杖に寄りかかった小柄な娘が空を見上げ、金色の列車を見下ろした。

「フィオは食事より空かしら」
「わたしはネレイズと違って燃費がいいの」
「食べなきゃ成長しないわよ」
「いいの」

レオノーラはマントをはずし、草に突っ伏して寝ているナインに静かにマントをかけた。ネレイズがムシャムシャと肉を食べる音だけが、天使界の屋上に響いていた。

「うちのリーダーがねえ、バカ正直でなかったら、こんなとこ見れなかったかもしれないけど」

リーダーをバカと言っておきながら微笑んで空を見上げるレオノーラに、ネレイズがぷっと吹き出す。

「そのバカの言った話を鵜呑みにしてついていくことにしたのはドコの誰だよ」
「意味の分からないこと言ってるとは思ったけど、嘘をついてるようには見えなかったのよ」
「僧侶さまさま、ってか?」
「あぁ、なんですって?」
「しっ!」

フィオが二人の顔の間に杖を突きつけた。

「何か聞こえる」

静かに耳を済ませると、風もないはずのこの屋上に涼しい風が吹きこんだ。ざわざわと大きな木…世界樹の葉が揺れてざわめき合う。三人は構えるのも忘れて呆然とその音を聞いた。

(青い…木…)

どこからともなく、小さい声が、掻き消えそうなほど小さな声が聞こえた気がした。

(果実を…集めるのです…)

それっきりなんの声もしなくなって、三人は顔を見合わせた。がさりと音のした方向をみると、ナインがいよいよ顔だけでなくひざを崩して全身草に突っ伏したところだった。

フィオは木を見上げた。

「てんしさま?それともかみさま…?」

レオノーラはわからないと短く言って、珍しく聖職者らしき祈りを捧げた。

「とにかく、おれたちはラッキーってことだよ、フィオ!」
「ラッキー?」
「そう、よくわかんねーけどうちのリーダーに付いてきゃ、これからも珍しいものが沢山見れるに違いない。そう思わねぇか?」
「この星空よりきれいなものがあるのかなぁ」
「おれは空より女だけどね…グアッ」

レオノーラに突き飛ばされて階段までゴロゴロと転がるネレイズを見て、フィオはくすくすと笑った。

「あしたがたのしみね」
「…その前にあんたも食事なさいね」
「…はい」

夜は更けてゆく。夢の中に落ちた天使と、いつまでも眠れない賑やかな人間たちと、静かにたたずむ木が一本。

物語は…まだ、始まったばかりなのだ。


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